朗らかなる戦争映画!
サスペンス的要素が物語を牽引し、西部劇的な戦争活劇が全体を彩る。
形式化されたハリウッド映画の脚本のように作らなくても、娯楽映画は作れる!
愚連隊の豪快な戦いぶりに劇場で爆笑。
500人の敵兵が整列する中、機関銃片手に10数人で突っ込み、手榴弾は大爆発、砂煙の中で、仲間は戦死していく。
ラストシーンには、西部劇のオマージュが各所に見られ、ニヤニヤしてしまう。
それを太平洋戦争の中国戦線でやってしまうのだからすごい。
だが、今では、「戦争映画=悲劇」の構図が完成されてしまっており、同じものは撮れないだろう。
この理論がまかりとおるならば、なぜ、戦国時代を悲惨な殺し合いの時代だと描かないのだろう?
戦中派の描く戦争映画は、明るさの中に、そっと反戦を織り交ぜており、生々しい。
「人命より大事な軍旗を守ってから退却する」と命令しながら、実際の軍旗は、原型を留めないほどにボロボロ。
腐った日本軍人組織に対して、仁義を立てる最後の騎馬民族「馬賊」の人々。
この痛烈な皮肉。岡本喜八節炸裂!
セリフではさらに「他人の命令で死ぬのはバカバカしい」と語らせる。
コロナ時代の映画を後世の人が「マスクばかりの暗い時代」と描いているような違和感が今の戦争映画にはあるが、それを払拭してあまりある。
バカ!アホ!お前も変人だな!
なんて言いたいこと言いながら、腹の底では信頼しあっている。
これぞ、男の友情。