Baad

プレイス・イン・ザ・ハートのBaadのレビュー・感想・評価

4.5
BS2のアカデミー賞受賞作特集で2度目の鑑賞。と言っても前回は後半2/3程の鑑賞ですから、事実上はじめてと言ってもいいのかもしれません。しかし、前回の鑑賞時の前向きな印象を引きずっていた為に衝撃を受けました。

この監督はどこまで人間の見方が温かく、そして的確なのでしょう。

改めて最初から見ると、1930年代以降につくられた様々の映画のシーンが思い出され感無量のものがありました。思い出した映画はたいてい”社会派”と名のつくものでしたが、この映画はあくまで人間ドラマとして撮ってあります。しかし、この映画の伝えているメッセージはその全てよりもずっと地に足がついていて身も蓋もなく現実そのものなのでした。

アメリカにとっては経済の復興期の端緒にあたっていたであろうこの時期にこんな厳しい映画を撮ってしまった監督の意図はどこにあったのでしょうか?
時代は変わっても人の心に潜む弱さやたくましさはそう変わることはないのかもしれません。

『クレイマー、クレイマー』や『白いカラス』には躊躇いなく満点を献上しましたが、この映画を手放しで賞賛するには多少のためらいを感じます。アメリカの社会が良い方向に向かって、この優れた監督が掛け値なしの明るい傑作を撮れる日が来ることを願って止みません。

( 言葉を失う 2009年3月21日記)
Baad

Baad