ギズモX

タイム・アフター・タイムのギズモXのレビュー・感想・評価

タイム・アフター・タイム(1979年製作の映画)
4.7
【H•GウェルズVSジャックザリッパー!】

シンディローパーのあの曲や『BTTF3』『ベイカー街の亡霊』など、様々な作品に影響を与えたマルコムマクダウェル主演の70年代SF映画。

《1893年のロンドン、数年後にSF小説"タイム・マシン"を執筆するH•Gウェルズが本物のタイムマシンを発明した夜、連続殺人犯ジャックザリッパーがそれを使って未来に逃げてしまった。
殺人鬼をユートピアに送り込む訳にはいかないと覚悟を決めたウェルズは彼を追って未来に旅立つ!》

斬新な物語が魅力的な作品だが、ウェルズやリッパーがタイムトラベルした"未来"は今から40年以上前の1979年。
本作が公開されたその年は、まだCGやサイバーが浸透していないラブ&ピースな時代なので、タイムマシンは昔の人が思い描いたようなレトロな形をしており(※1960公開の『タイムマシン80万年後の世界へ』のパロディ)
タイムトラベル時はサイケな演出なのが印象に残る。
現地は70年代のカルチャーが全開で時代を感じさせ、今の時代でリメイクしたらどうなるんだろうかと想像するとワクワクが止まらなくなる。

話の内容も、未来で連続殺人を犯すようになったリッパーを追うサスペンスに加えて、時をかける熱いロマンスや、時代を跨いだカルチャーギャップネタがテンポよく繰り広げられて面白い。
特に、未来はユートピアになると予想していたウェルズと、未来はより暴力的になったと主張するリッパーの対比が良くできており、人が時をかけて積み上げたイデオロギーがテーマになっているのが素晴らしい。

ヒロインは『BTTF3』のあのクララさん。
『BTTF3』では過去に存在する人だったけど、本作では未来に存在している人で、過去から未来を思い描いていたウェルズに、その時代のことを色々と教えていくという重要な役割を演じています。

精神的に過去にいる者達が、いろんな思いを包みこんでいきながら未来の方向へと旅立っていく。
そんな感じのとっても明るい作品だ。

【ユートピアへ】
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