ヨウ

L.A.コンフィデンシャルのヨウのレビュー・感想・評価

L.A.コンフィデンシャル(1997年製作の映画)
4.5
完全に舐めてた… クッソ面白えやんこれ!

1950年代のロサンゼルス。世界中の誰もが憧れる煌びやかな雰囲気の裏に潜む悍しさ。マフィアの悪影響。横行する暴力,移民差別,売春。権威の暴走。身も毛もよだつ惨劇。。穢らわしき世相が露わになる中、刑事たちは想像を絶する事件性の渦中へと足を踏み入れてゆく。

曲がったことを決して看過せず同僚を差し置いてでも出世を望むエド。冷酷無比だが誰よりも義理人情に厚いバド。テレビドラマの顔として知られ悪徳さと潔さを兼ね備えたジャック。この3人のデカに女優似の娼婦リンを介在させた、桁外れに激しく蠱惑的なストーリーが堂々披露される。

血の気が引くような殺人事件。浮かび上がる容疑者。派生する被害者。一旦は打たれる終止符。万事が解決したように思わせるも、各人の抱く気持ち悪さ・やるせ無さは払拭されることがない。徐々に浮かび上がる不可解な点。更なる深層に迫る中、驚愕の実態が炙り出されていく。

背景で糸を引く大元の存在。次々と紐解かれる関係者たちの忌々しい秘密。暴けば暴くほど輪郭を表す狂気。腐敗極まるネットワークの蔓延に歯止めが掛からず、事の重要さや根深さに異常なまでの震えが齎される。闇に我が身が蝕まれているような感覚に陥った。穢らわしい大人たちに対して最大限の憎悪を抱いてしまう。人間はどこまで卑劣になれるんだ…

二転三転する心境。不条理と葛藤。真に問われる為人。並々ならぬ思いを曝け出し凄まじいコンフリクトを繰り返しながら同じ大義のために立ち向かってゆく3人。誰も信用ができない情勢下に呑み込まれつつも真実を掴もうとする強固な信念。暗黒を彷徨った果てに証明される”正義”への最適解。有終の美を飾る真の人間力をこの目でしかと見届け、至上のカタルシスを与った。

LAで蠢く陰謀と歯止めのない腐敗をテーマに、何処までも闇深く、そして非の打ち所がないほどに素晴らしいドラマを描き出したハードボイルドのマスターピース。最初こそ複雑な内容についていけなかったが、着々と結ばれていく事件の数珠繋ぎに凄味を見出し、気付けばただひたすらに釘付けとなっていた。時間が経過するほどにのめり込んでしまう。全てにケジメをつけるフィナーレは余りにも素晴らしく、途轍もない清々しさを覚えた。絶望を切り開くのは透徹した正義心。良心の呵責や犯してしまった過ちに苛まれながらも自分なりのパーフェクトアンサーをその生き様で示した刑事たちには平伏せざるを得ない。宿された熱い魂、この上なく尊し。

最終的にはラッセルクロウとガイピアースの絆に完全に持っていかれた。あれはズルいって。。豪華キャストが魅せる珠玉の演技はプライスレスである。

腐り切った暗黒街を浄化するジャスティスの真義に誰もが情動を揺さぶられるに違いない。これは必見だ!
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