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探偵はBARにいるのnetfilmsのレビュー・感想・評価

探偵はBARにいる(2011年製作の映画)
3.6
 札幌ススキノ、雪の中の追跡劇、探偵の俺(大泉洋)は今日もチンピラどもに追いかけられていた。雪に足を取られるうちに捕まり、ボコボコにされる中ようやく相棒兼運転手の高田(松田龍平)が到着する。霧島グループの20周年記念パーティ、歌手のカルメン・マキを迎えたグループのドン霧島敏夫(西田敏行)は満ち足りた表情を浮かべながら、横に座る沙織(小雪)をエスコートする。その日の帰り道、忘れ物を取りに帰った沙織を置いて、1人裏路地を歩く敏夫の前で、若い女がバンで連れ去られようとしていた。敏夫は彼女を助けようとチンピラどもに食って掛かるが鈍器で殴られ殺されてしまう。それから1年後、雪の中に生き埋めにされた俺は高田に助けを求める。根城とするススキノのバー「ケラーオオハタ」に電話してきた「コンドウキョウコ」を名乗る女性の依頼で、弁護士の南(中村育二)を揺すった「探偵」は、帰り道「どう見てもその筋の方々」に拉致され、雪原に生き埋めにされる。依頼は、2年前の札幌の再開発計画絡みの放火殺人事件とその実行犯の変死、1年前の霧島俊夫の暴行殺人事件に関連すると思われたが、放火されたビルから遺体で発見されたのが「コンドウキョウコ」であったと知り、困惑する。

 東直己の推理小説シリーズ『ススキノ探偵シリーズ』を原作としたシリーズ第一弾。繁華街「すすきの」のバー「ケラーオオハタ」に入り浸る私立探偵俺とその助手・高田が真相を追うハードボイルド・テイストな物語は、「コンドウキョウコ」にまつわる女絡みの物語と、数年前の2つの事件の因果関係とを怪しく結ぶ。振興暴力団「花岡組」の悪どい地上げと花岡組のファームである「則天道場」の薄気味悪いカルト感、皆楽会館放火事件の被害者の連鎖、そこに炙り出される影の黒幕を明らかにしながらも、「ケラーオオハタ」の黒電話に掛かって来る「コンドウキョウコ」を名乗る女性と俺との仄かな恋にフォーカスする。高田が声だけで絶対におかまのデブだと断言した小雪のファム・ファタールな妖艶さ、霧島敏夫が残してくれた高級クラブ「コンチェルト」を女手一つで守るしたたかさ、父の形見のOMEGAの時計。バイセクシュアルの新聞記者である松尾(田口トモロヲ)や喫茶「モンデ」の看板娘である峰子(安藤玉恵)、「桐原組」の若頭で腐れ縁の相田(松重豊)など、お馴染みのメンツが小気味良く登場する展開が心地良い。中でも鼻ピアスをしたカトウ(高嶋政伸)の怪演が印象に残る。
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