俺”は札幌の歓楽街ススキノの私立探偵。
ある晩、いつものバーで寛いでいると、コンドウキョウコと名乗る女が電話で依頼を告げる。
ところが、その依頼のせいで“俺”は怪しい男たちに拉致され、人里離れた雪原で生き埋めにされてしまう。
命からがら脱出した“俺”は事の真相を探り始める。
東直己の人気シリーズを大泉洋×松田龍平で映画化。
原作は、このシリーズの2作目、「バーにかかってきた電話」らしい。
同名タイトルの1作目は別内容。
映画としては、いわゆる探偵もの。
北海道出身の大泉洋がすすきのを舞台に探偵を演じている。
札幌の歓楽街ススキノを舞台とし、エロ、バイオレス、アクションありと、ハードボイルドな作風で先が読めない展開はかなり楽しめた。
銀残しの映像も渋く、ススキノが魅力に演出されていて雰囲気も良い。
大泉洋が探偵役って、本当にできるのだろうか…。
むしろ、松田龍平と役を交代した方がいいんじゃないだろうか。
って、心配だったんですが、これがわりとハマってました。
随所に散りばめられたユーモアが光るのはやっぱり大泉洋だからだったと思う。
そして、シリアスなシーンやアクション・バイオレンスシーンもしっかり演じられているのを見ると、「あぁ、洋ちゃんはやっぱり役者が本業だったのね」と。
監督さんが大泉洋に目をつけて、当時ローカル的存在だった大泉が全国的に知名度が上がるまで待ってから映画を作成した、というのがなんだか納得できる。
大泉洋、松田龍平、小雪、いずれもキャスティングがぴったりはまっている。
ハードボイルド映画(PG12指定)だから、人が死ぬシーンとか、無駄なお色気シーンみたいのもあるけれど、そこも含めて「極上のエンターテイメント」でした。
欧米的な、脂こってりでくどいハードボイルドではないので、老若男女皆楽しめる仕上がりです。
挿入歌もばっちり。
エンディングのあのシーンにあの曲を入れたのは、完全に世界観がビタッとあっていて、最後の余韻をしみじみと味わえました。
ラストは男の涙を引き出す、ちょっと湿った和風ハードボイルドの快作と言ってよいだろう。
ただ、本作でもあったが、演出としてもういい加減やめて欲しいなと思うこと。
映画等で主人公等に電話がかかって通話し、相手側がから急に電話を切られたあとに「もしもし、もしもし」と通話の切れた電話に呼び掛ける演出は古いなと思う。