Makiko

去年の夏 突然にのMakikoのレビュー・感想・評価

去年の夏 突然に(1959年製作の映画)
3.7
疲れた。『欲望という名の電車』のテネシー・ウィリアムズによる戯曲が原作=会話劇→セリフが多い。だけど、物語がクライマックスへ向かうにつれ、自然と前のめりになって観てしまう。作る側にも観る側にも気合いを求められるような映画。

精神病院、ロボトミー手術、同性愛(がまだ危険性癖と見なされていた時代)、買春、近親相姦、強姦、カニバリズム、異教の寺院……という、いわゆるタブー/カルト的要素のごった煮。クレイジーよかインセインというべき作風。

キャサリン・ヘプバーンとエリザベス・テイラーという大女優による化け物級の演技合戦。ぶっ飛んだ人物設定なのに、安心して見ていられるのはさすがの二人。(モンゴメリー・クリフトの役だけがまともである。)ケイトとリズ、どちらの演ずるキャラクターも「回想」する場面があるのだけれど、二人の怪演に加えて劇伴と効果音が毎回とっても不穏なので、視覚的にショッキングな描写がないのにとても怖い。終盤の回想シーンは映像で怖がらせてくるのでまあ当然怖い。

精神病院の患者、浜辺の同性愛者たち、イタリアはアマルフィの乞食の少年たちがどれも同じように「異常」の象徴として描かれていたのは、1959年当時の資料として興味深い。

繰り返し観たくてDVD買っちゃった。
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