カタパルトスープレックス

ほら男爵の冒険のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

ほら男爵の冒険(1961年製作の映画)
3.9
チェコのストップモーション・アニメーション三巨匠の一人であるカレル・ゼマン監督の長編四作目です。ちなみに三巨匠の残り二人はイジー・トルンカとヘルミーナ・ティールロヴァーです。イジー・トルンカが一番有名ですね。

クライテリオン版のブルーレイBOXセットの一部です。

前作『悪魔の発明』ではモノクロ映像で銅版画、ストップモーション・アニメーション、実写の融合を見事に達成しました。今回はさらに一歩進んでカラー作品に挑んでいます...があまり成功したとはいえないかもしれないですね。それでも、この作品の先進性はすごく評価できます。だって、1962年9月の公開。つまり、ビートルズがデビューする一ヶ月前です。しかし、ここで実現しているのは『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(1967年)のようなコラージュのアルバムジャケットの動画版ともいえる作品です。

原作はほら吹き男爵ことミュンヒハウゼン男爵にまつわる史実と創作です。ミュンヒハウゼン男爵は実在の人物なのですが空想のほら話が好きだったようで、その話が勝手に出版されてしまったかわいそうな人です。カレル・ゼマン監督はジュール・ヴェルヌの小説が大好きですが、今回もジュール・ヴェルヌへのオマージュからはじまります。

これはこれで悪くないのですが、やっぱり『悪魔の発明』が一番のおすすめかなあ。