もとまち

マイマイ新子と千年の魔法のもとまちのレビュー・感想・評価

マイマイ新子と千年の魔法(2009年製作の映画)
4.2
どこまでも無邪気で純粋に生きてきた子供たちが、はじめて死と現実に対峙する物語。死者は蘇らないし、この世は優しい人間ばかりではないし、人は好きな人と必ず一緒になれるわけではない。そんな当然のこと、しかし子供にとっては理不尽にも思える世界の真実に、新子たちは否応なく直面することとなる。つまり大人になるための通過儀礼を迎えるわけである。子供の成長はある意味残酷なものであり、痛みが伴うものでもある。それでも、自分たちの生に向き合い、未来へと突き進んでいく新子たちの姿に、静かな感動を覚えた。舞台となる防府市の豊かな風景や、その中で息づく様々な人間たちが、緻密な考証と繊細な作画によって表現されていて、登場人物とその背後にある社会を丁寧に描写しているところが素晴らしかった。
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