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シャーロック・ホームズのp99のレビュー・感想・評価

シャーロック・ホームズ(2009年製作の映画)
3.8
シャーロック・ホームズ×ガイ・リッチー×ロバート・ダウニーJr.×ジュード・ロウ×マーク・ストロング…

なんじゃあこりゃあー!!もう全員好き!!上に挙げた人物だけでもう5.0点満点じゃー!!

…と言いたいところだけど、映画全体としては「佳作」どまりという印象である。最近Filmarksに大きな波紋を呼んでいるガイ・リッチー監督であるが、この映画が公開されたときにFilmarksがあったら、『コードネームU.N.C.L.E.』と同じくらいの騒ぎになっていたのではないかと予想する。


●監督と演出について●

映画鑑賞歴の短い私ではあるが、ガイ・リッチー監督の強みは「脚本」と「演出」にあると(勝手に)思っている。しかし、本作の「脚本」は完全に違う人が執筆しており、監督が自分の強みを生かせていなくてもしょうがない。将棋で言うと飛車角落ちで戦っているようなものなのだ。「脚本」に引っ張られて、得意の「演出」もそこまでうまくいっていない。

ガイ・リッチーらしいと感じたのは、爆発シーンのスローモーションや、戦闘シーンで「事前にホームズが思った通りにことが進む」という演出などであるが、これらの演出は直接脚本に関係があるわけではない。本作の「武闘派ホームズ」にとって、推理がそこまで重要じゃなかった点が、ガイリッチーの強みを活かしづらくしていたとも思える。もう少し推理や会話が「脚本」にとって重要であったなら、そこにガイ・リッチーの「演出」がうまく作用する余地があったと思える。


●「リブート」シャーロック・ホームズ●

前述したが、本作のホームズは武闘派で泥臭い。知性派紳士という今までの枠組みを取っ払って、娯楽大作として仕上げようという思いを感じる。

でも、イメージを取っ払うだけじゃホームズじゃなくなってしまうので、「知性派」をどこに残すかがポイントである。本作では知性が偏屈なこだわりとして表現されることになった。(実験用のハエを数時間かかって集めるホームズなど誰が想像しただろうか!)

この新しいホームズ像を示すことには成功していると言えるだろう。ロバート・ダウニーJr.の演技もあって、ホームズは魅力あふれる人物に仕上がっている。従来はワトスン君よりも背の高いイメージであったが、ガンガン暴れまわるならバディ(ジュード・ロウ)よりも背の低いロバートで正解だっただろう。非常にバランスの良い二人である。

悪役にはブラックウッド卿(マーク・ストロング)が当てられた。彼の使う黒魔術は本作のテイストを方向づけている。1890年のロンドンにおけるダークファンタジー風の世界観は個人的ツボであった(みんなも好きだよね?)。マーク・ストロングは悪役として物語に重厚感を持たせている。オリジナルキャラではあるが、悪役としてかなり魅力的である(流石つよし、悪役としての実績が違う)。ホームズの宿敵モリアーティをいきなり登場させなかったのも、リブート成功の鍵と言えるだろう。


●おわりに●

まとめると、世界観、キャラクターは良かったけど、脚本と演出はまあまあであった。特にホームズの推理の大半が問題解決に繋がっているわけではなく、後付けの説明のようになっていたのは残念だった。しかし、最後に犯行の実態が明らかになる演出はおもしろい。

「犯人は誰か」という謎もなく(オープニングアクションから誰が悪役か分かっている)、ほとんどアクションに寄せているので、あまたのアクション映画にやや埋もれてしまっている印象はある。しかし、本作で示された原作に近い(?)新たなホームズ像は新しく、それにはハマってしまうことだろう。