むぅ

シャーロック・ホームズのむぅのレビュー・感想・評価

シャーロック・ホームズ(2009年製作の映画)
3.5
「名探偵か」

それはコロナになる前のこと。
「Nちゃんの携帯と私の入れ替わってるっぽい。電池なかった時に会社携帯からむぅに連絡したことあって良かった。じゃなかったら誰とも連絡とれなかった」
よく飲む4人のうちの1人から、しこたま飲んだ翌日連絡があった。
「おー、どうすんの?」
「仕事終わったくらいに家行ってみる」
「家の場所知ってて良かったね」
1時間後、彼女からまた連絡がきた。
「とりあえず解決!」
Nちゃんの職種、飲みながらの会話の中で出てきた職場の立地や上司の愚痴の情報を繋ぎ合わせて、ここかも?という職場に電話してみたら一発で当てたらしい。
怖っ。
シャーロック・ホームズにもポワロにもなれそうである。
「でもNちゃん、私の携帯持ってないって」
新たな謎が生まれた。
「解決!」
数分後にまた連絡がきた。
彼女自身の携帯は、昨夜履いていたスニーカーの中に入った状態で靴箱から出てきたらしい。
「人の携帯持って帰るほど酔ってんのに、靴をしまうところが凄いわ」
ご馳走様でしたっ♡と明るく元気にタクシーの運転手さんに支払いをして困惑させた私は、ワトソンくんにさえなれそうにない。

青い鳥文庫かなんかで全作読んでいるはずのシャーロック・ホームズ。覚えているのは読んでいた小学生の頃、ちょっとだけ探偵に憧れて
「ワトソンくん」
買ってくれた父にそう話しかけたら
「なにっ!お前がワトソンだ」
と言われた記憶のみ。

"忘却力"の時にばかりよく働く私のシナプスとニューロンよ。

この人の頭の中が見てみたいなと思う人はいる。
その思考回路を映像で観せてくれるのが面白い。
断片的な映像が繋がっていく様子は映画ならではの表現だなと思った。また、彼のロジカルな思考回路を強調するためアクションをする前に、その様子を事前に脳内でスローモーションで解説するところに、なるほどと思った。

事実確認しながら仮説を導き出す、という事って日頃やっているだろうかとふと思った。
スーパーで前の人のカゴの中を見て今日のメニューは餃子かなくらいの事は思うが。

あれこれ考えたところで、仕事では結構やっているかもしれない、と思った。
お客様のグラスの中身や、テーブルでの会話の様子から次にどんな行動をされるか予想して動くのは当たり前のこと。

思わぬところからモチベーションに繋がる事ってあるのだな。
目指せ"名探偵"。
ただ、注意すべきはドヤ顔で"謎解き"をせずサラッとやること。
そしてお客様の忘れ物に気付いて全力疾走し、反省すべきは運動不足ではなく、すぐに気づけなかった自分の観察眼と注意力。
物語のようなサービスを提供出来たらな、と思う。

そんな事を思ったので、お得感のある映画だった。
むぅ

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