滝和也

劇場版マクロスF〜イツワリノウタヒメ〜の滝和也のレビュー・感想・評価

3.5
君は誰とキスをする?

銀河の妖精が
その船に降臨する時、
超時空シンデレラが、
誕生する…

アイドルによる歌と星間戦争、
可変戦闘機バルキリーによる
壮絶バトルアクションと
ラブトライアングルを
描くマクロスシリーズ屈指の
人気作!

「劇場版マクロスF
〜イツワリノウタヒメ〜」

マクロスを見たことない方には全くわからない、強烈なキャッチでスタートしてしまいましたが…はい、マクロスの基本はこれ。歌と三角関係とバトルアクションが連鎖する世界がマクロスの基本であり、原点です。80年代のメカアクションアニメに兵士とアイドルが恋に落ちると言う初期ヲタを狂喜乱舞させるシチュエーション、すれ違う恋愛要素(当時のトレンディドラマの要素)をガッツリ打ち込んだ上に、、歌と言う平和を願う最も文化的な存在が戦争を集結に導くと言うガンダムには有り得ない神話の様なファンタジーが組み込まれた作品。それがマクロスです…。

だがそれがいい!

そしてこれは現代的にブラッシュアップされ、原点回帰した作品なので、オッサンとなった、マクロス第一作を10代で見ていた私も楽しめました…。

銀河の妖精と呼ばれる歌姫シェリル・ノームと歌手を目指す高校生ランカ・リー、空に憧れを持つ嘗ての銀河歌舞伎の女形の名手で高校生の早乙女アルトの出逢いは、未確認生命体バジュラに襲われる宇宙移民船団マクロスフロンティアを舞台に描かれる。バジュラは何故マクロスフロンティアを襲うのか、二人の歌姫の声に反応するのは…。そしてギャラクシー船団の陰謀とは…。船団を守るため、夢を叶えるため、バルキリーパイロットへ志願するアルトと二人の歌姫の恋の行方は…。

TV放映から劇場版二部作に。こちらは前編です。TV版からかなりの改定と圧倒的な新規作画、CGにより上手く纏められていると言うところでしょうか。キャラも絞り込んでいますが、大きな差はなく、TV版を見ていた方にも納得いく展開だと思います。

マクロスは歌だと語りましたが、この作品、菅野よう子さんがガッツリ作り上げた歌がガンガン鳴り響く。劇場版は更にその部分がライブシーンとして気合が入りまくりの演出で正に見事としか言いようがない。実際のオリコンチャートを席巻してしまうアニメ歌手の奔りはマクロスのリン・ミンメイてしたが、こちらも同じ。(ミンメイの名義は飯島真理でしたが…)正に神曲だらけ…で二人のヒロインイメージに合わせて作られており、劇中にピタリ合う。

シェリル・ノームは洋楽のディーヴァのイメージで劇場版では当時流行りのガガ様の雰囲気を纏いました。ツンデレな態度に超絶的な美しさ、そして垣間見せる弱さとアニメ史上に残る屈指のキャラクター。アイドルの階段を登り始めるランカは王道アイドル、80年代を思わせる可愛さと普通の女の子をイメージさせるキャラクター。二人に共通するのは歌に対して真摯であり、がんばりやさん。そしていじらしさ。正に超絶怒涛のダブルヒロインです。

その二人に好かれてしまう早乙女アルトも超イケメン。歌舞伎の女形と言う背景を持つ女性的なイメージを持つキャラクター。この辺りはマクロスからかなりのアップデート(笑) 鈍感、優しいのに不器用、自分の夢や二人の夢を守ろうと戦うと言う、まぁ少女漫画のイケメンヒーローを全部突っ込んだようなキャラですし、マクロス主役伝統の優柔不断さを兼ね備えてます(笑) それが無いと始まらないですし(^^) これに加え、ワイルド系兄貴分やライバルになるメガネイケメン、ショタ用男子まで取り揃え、(この辺りもマクロスオマージュです)二人のヒロインと共に、男女とも人気が高いんです。

そしてメカアクションも可変型戦闘機バルキリー、可変型戦闘空母マクロス・クウォーター、各種デストロイドがゴリゴリのCG画像で宇宙を乱舞。監督お得意の煙を引くミサイルの雨アラレと、まぁ派手ですわ。

ファーストガンダムが戦車ならマクロスのバルキリーは完全に戦闘機。高速バトルが展開されます…がしかし、速すぎて最早目で追いきれない…動体視力の低下したオッサンには辛い(笑) ただメカも第一作を意識してデザインかつ戦闘演出がされていて、そこは懐かしくも楽しませて頂きました。

TV版は2クール分ありましたから、三角関係もかなり描かれましたし、サブキャラの掘り下げもあり、面白かったですが、劇場版も演出が更に派手になり、かなりまとまってましたので、楽しませて頂きました。TV版全部見てからのほうが楽しめますが、これ単体でもまぁなんとかなる(笑) あまり美少女が出てくる作品は見ないのですが、マクロスはメカのおかげで私も見れましたし、ハマりました(笑) やっぱりシェリル派ですけどね。あの儚さとツンデレさ、歌姫と言うのが若かりし頃好きだったあのアイドルの様で…。
滝和也

滝和也