雨音

TAJOMARUの雨音のネタバレレビュー・内容・結末

TAJOMARU(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

室町末期。
小栗旬演じる畠山直光に仕える家臣の桜丸を演じる田中圭さん。

空腹から芋を盗んだ自分を救ってくれ、兄弟同然に可愛がってくれた直光を裏切り、直光の代わりに家を乗っ取ろうとする役どころ。

桜丸役の圭さんはとにかく美しい。
桜の葉のようなグリーンの着物に、透き通るような白い肌。
まさに美少年といった感じだ。

地位と名誉の為にこれまで育ててくれた人たちを斬り、のし上がろうとするも、少しずつ窮地に立たされる桜丸。

恩を仇で返す桜丸は、苛立ちを感じるほどに、憎らしく悪い奴なんだけれど、何処か憎めない儚さと悲しさがある。


「俺には何一つ手に入らぬ。御所様の、慰め者として過ごした日々など想像もつくまい」

彼の発する台詞の通り、萩原健一さん演じる御所様に見せつけのように人前でお尻を触られるのをグッと堪えるような姿。

どれだけ奉仕しても自分は変われないそんな葛藤から桜丸は変わっていったんだろう。


この映画の見所といえば最後の、長い長い立ち回りのシーン。

おそらくクランクアップもこのシーンだったようだ。
エキストラさんにもアドバイスをもらったりとずっと練習をしていたという圭さん。
この手のシーンのある映画をあまり見たことない私だけれども、とても綺麗で迫力のあるシーンだった。

そして、時折額に浮かぶ血管がなんとも美しい。

桜丸は「芋はおいしゅうござ…」と直光に初めて会ったときにもらった芋の話をして生き絶えていく。

苦しみや嫉みから解き放たれたような表情の死顔はとても安らかだ。

悪役という難役に挑んだ圭さんの貴重な姿を見られる作品だった。


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ここからは特典映像のはなし。

特典映像のボリュームもなかなかのもの。


【多襄丸×道兼一派 同窓会】
圭さんの参加はないものの、圭さんの話題がちょこちょこと。
というより・・・その場にいないのに、、ものすごい爆笑をかっさらっているのが圭さんなのだ。

道兼一派と桜丸達との立ち回りの時のカメラワークについて。
剛くんや須賀さんのカメラワークと違って、自分時は引き絵だったと拗ねるやべさん。
満を持して「自分も!」と撮影に向かった圭さんの話もチラッと。

この座談会では他のキャストについても語られるのだが、他のメンバーは「俳優…〇〇」というようなタイトルがついているのに対し、圭さんの時のタイトルは「田中圭落馬」
もうこの時点で弄られてる。

ここでは乗馬の練習の時に落馬した圭さんのエピソードで大盛り。

アリーナで見ていた旬くんと、近くにいたやべさんが変わる変わる当時の様子を語る。

素直だから、分かったようなことを言っちゃうんですよ「もう俺、行けんじゃないですかね」とか言っちゃうから暴れ馬に乗せられる。
と圭さんについて語るやべさん。

ゴロゴロふっとんだ後、猫みたいに立ち上がって、めちゃめちゃ早いスピードで逃げた。
というエピソードで一同大爆笑。

「痛い痛い」と言っているのに誰も心配してなくて「ほらもう一回乗って!乗らないとトラウマになる」的な事を言われ、その直後に馬に乗せられたとか。

翌日稽古をバックれて、それ以来こなくなった。と言いながらまた爆笑される圭さん。

可哀想だけれど、やっぱり笑っちゃう。

この座談会を観た後は、本編で圭さんが馬に乗りながら揺れるたびに心配になっちゃった。
怖くなかったかな?よく頑張ったね。って親の心境になってしまったりして。


一生懸命立ち回りの練習をしていて、撮影終わりにホテルの廊下で刀振ってたら、お客さんからクレームが来たらしい…

色々不憫・・・


そして圭さんからのコメントVTRも。
グダグダのコメントの後、「もう一回やっていいっすか?なんて言おうかな?言うことねーんだよな」
失礼な事を言う圭さんが素直で可愛い。




【THE OTHER SIDE OF TAJOMARU 】
キャスト、監督のインタビューとメイキング。


旬くんについて語る圭さん。
圭さんにとって旬君は、唯一緊張する人。
旬くんは追いつかせてくれない。
追いつけそうと思ったら、いつも先にいる。
そんな話を少しパーマのかかったようなビジュアルで語っている。


このメイキングでは尊すぎる旬くんと圭さんの二人の添い寝が観られる。(階段に座りながらだけれど・・・尊い)
旬くんのすぐ隣で、コクコクと頭を揺らしながら安心したように無防備に眠る圭さんの横顔の美しさが半端ない。
大袈裟だけれどこれを観れただけでこのDVD買ってよかった・・・と思う程。


萩原健一さんとのやり取りも良かった。
チャーミングに圭さんにウィンクする萩原さん。
笑っちゃった圭さんに「圭ちゃん、すぐわらうんだもん」という萩原さんの姿は圭さんを可愛がっている事がよく分かる。

本編には無い、御所様から指を噛まれる桜丸のシーンも収められている。

クランクアップでは、圭さんにハグをする萩原さん。
「圭ちゃんまたやろうね。おじさん手伝うからね」という言葉から愛が溢れていて、こうやって沢山の人に可愛がられてきたんだなぁと嬉しくなる。

この作品を撮影していた時に、かなり追い込まれていたという圭さん。
「初めて現場行きたくないと思って…追い込まれていた…」と語っている。

プロデューサーでありトライストーンの社長である山本又一郎さんと監督のイメージする桜丸の違い。
2人の間で揺れる圭さんの心境などが赤裸々に語られている。

実は旬くんは桜丸をやりたかったらしい。
圭に多襄丸をやらせて欲しい。
という旬くんに「圭にチャンスをやりたい」と伝えた山本社長。
インタビューでは「田中圭にここで一伸びして欲しい」と語っている。


そんな社長の親心が垣間見える瞬間がメイキングにも収められている。

モニター越しに桜丸を演じる圭さんの演技を観た社長が、興奮気味に監督に
「行けますよ。心配した俺は実は…」と伝える姿が感動的だった。

桜丸を生きる葛藤をそばで見ていた社長の語る圭さんの様子からも圭さんにとって過酷な現場だったことがよく分かる。

共演者の柴本幸ちゃんが、圭さんの演技に納得がいかず社長に詰め寄るシーンも収められている。
その場に圭さんがいたかは分からないけれど、あの時圭さんはどんな気持ちだったのだろうと思うと苦しくなる。

悩んで悩んで桜丸を生きた圭さんの姿、エピソードがたっぷり詰まった貴重なメイキングだ。


圭さんのクランクアップシーン。

しゅんくんに握手をした後、旬くんが自分のクランクアップのようにスピーチをするのを突っ込む圭さん。
結局美味しいところをもっていかれる形で、圭さんからのクランクアップコメントは無かった。

【完成披露試写会】
終始緊張気味の圭さんだけれど、短冊に描いた願いに一同爆笑!
「人を斬らないでも、のし上がれますように」
あれから数年経ち、人を斬らず、沢山の人に愛されながら人気俳優にのし上がった圭さん、有言実行の男。

https://ameblo.jp/tajomaru/entry-10299963412.html


【初日舞台挨拶】
ここでも旬君に緊張して目もそらしてしまう圭さん。

お酒を飲んだら鼻だけ白くてコアラみたいになる話。
酔っ払って旬くんの部屋の前で寝ていた話。
目が合うだけで走ってきたという圭さんの話。

ここでもしっかりと弄られる圭さん。
写真撮影の時も旬くんに顔を隠されて2人でワチャワチャしている様子が微笑ましい。

https://ameblo.jp/tajomaru/entry-10340955983.html


ボリュームがすごすぎて取り留めない感想になったが、映画『TAJOMARU』
圭さんの葛藤と、貴重な寝顔、と愛され弄られる姿がが詰まった素晴らしいDVDだった。

これもかなりお勧め。
雨音

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