紅孔雀

ペット・セメタリーの紅孔雀のレビュー・感想・評価

ペット・セメタリー(1989年製作の映画)
3.4
30年前の旧作をようやく鑑賞。新作と比較すると、怖さは意外にも新作の方が上。怖がらせ方は映画の技術と共に進化してるんだ、と思いました。ただ原作者キングとしては、自ら脚本も書いた(そして出演もしている!)旧作の方がお気に入りかも(キューブリックの傑作『シャイニング』も、原作通りでなかったのでキングは不満だったとか)。
また旧作と新作を両方見ると、キングの作劇術が少し分かった気になります。メインとなる恐怖の他、小ネタの恐怖(頭が削げた幽霊の出現、身体の曲がった妻の姉の死、かつて蘇った男の顛末等)を散りばめて怖がらせるのがキング流だと気付きます。だいたいモダンホラーは理に落ちる故に(昔のおどろおどろしいホラーほどには)コワクないんですが、その欠点をうまく回避しています。元ネタは、古典ホラーの名作W.W.ジェイコブスの『猿の手』と言われていますが、そのメインのストーリーにいくつかのホラーの小ネタを加え、様々な方向から恐怖が襲ってくるので、観客はその意外性に怯えることになるわけです。うまい工夫だと思いました。
紅孔雀

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