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ことの終わりのrsのレビュー・感想・評価

ことの終わり(1999年製作の映画)
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君を連れ去ってしまうなら、君の靴にも嫉妬するよ

作家はかつて友人の妻との不倫関係を一方的に打ち切られていた。彼女に新たな相手がいると知るや嫉妬に狂い、その正体を突き止めようと探偵を雇う。

地味な展開だけれど、1940年代イギリスの風物や、実力派俳優たちの演技合戦が味わえる。レイフ・ファインズの陰った目元に燃える作家の嫉妬、ジュリアン・ムーアが静かに演じる人妻の謎めいた魅力。スティーヴン・レイが漂わせる夫の哀愁には裏切りを許す寛大さも垣間見える。

淡白に明かされる、宗教と絡みついていた真相。

神は存在するから信じるのか、信じるから存在するのか。
作家は無神論者だけれど、やがて目にした奇跡に神の存在を認めずにはいられなくなる。否、彼女を奪われたときから、既に認めていたのである。
そんな彼の願いはただひとつ。「神よ、永遠に僕を忘れ去って欲しい」

愛は信仰によく似ている。
神の姿が見えなくとも信じるように、会って肌を重ねなくとも信じていれば続くもの。ただそのためには、人の心が耐え忍ばなければならない。
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