原作はモーリス・ポンスの同名の短編小説で、トリュフォーの本格的な短編処女作。26分というショートフィルムでありながら、既にトリュフォーの後世に残る数々の愛に満ちた映画を予感させる作品。
美しいベルナデットに夢中になっている5人の少年。彼らはやがて彼女が羨望の的になっていき、彼女とボーイフレンドのジェラールを追いかけ回して執拗にいたずらをする。ジェラールは3ヶ月間、戻ってきたら彼女と結婚すると約束して旅立つが…というストーリー。
若きベルナデット・ラフォンが本当にモノクロの光の中で美しくて見惚れた。はためくスカートや笑顔、木漏れ日も水の輝きがキラキラと光っていた。
子ども達が彼女がいない隙に、自転車のシートの匂いを嗅ぎ始めるのは少し嫌なんだけれど、分かる。二度と戻れないけれど忘れられない子ども時代の情景を描いていると感じた。
テニスコートで水を撒く人が逆に水を撒かれる微笑ましいシークエンスは、リュミエール兄弟の『水をかけられた散水夫』(1895)のオマージュ。
愛の喪失と青春のみずみずしく素晴らしい映画。