ももも

あこがれのももものレビュー・感想・評価

あこがれ(1958年製作の映画)
4.2
フランソワ・トリュフォーの初監督作。自然光を活用した屋外での撮影が南フランスの若者の瑞々しさをよく引き立てている。子どもたちの演技が自然で、かなり悪どいことをしているんだけど無邪気で好感が持てる。過不足ない秀逸な短編作品。

主人公の悪童たちは愛し合う恋人たちをスクリーン越しに眺めている観客の隠喩なのかなとも思ったけど、積極的に介入しているあたり、どちらかというと監督のことなのかな。「首輪のない犬」のポスターを破るシーンとか、監督の欲望の代理以外の何物でもないし。

トリュフォーはこの映画がきっかけで主演ジェラール・ブランと仲違いしたそうだけど、それを踏まえてラストシーンを見ると、ブランがいなくなって初めて事の重大さに気付くトリュフォー、という構図が見えて、それはそれで面白い。私小説としての「あこがれ」。
ももも

ももも