りょうた

断崖のりょうたのレビュー・感想・評価

断崖(1941年製作の映画)
4.0
両親から結婚を期待されていないリナはある日、ジョニー・エイスガーというモテ男と出会う。二人は早々と結婚を決めると、家を買った。しかし、エイスガーは博打にハマる文無しで借金もあった。

その為、リナが父から譲り受けたアンティークの椅子を売り払って、そのお金で競馬をしてしまう。また、ジョニーの従兄弟にあたるメルベックは不動産経営をしており、ジョニーを雇ってくれることになるが、ジョニーは2000ポンドを盗んだとして解雇されていた。

リナは夫であるジョニーのお金に対する執着を知ると、自分を殺すのではないかと思い込むようになる。

断崖でのビジネス、言葉遊びでの「疑い」「殺人」、毒についての知識、殺人ものの推理小説の愛読、保険会社からの手紙などで、彼女は疑心暗鬼に陥る。

この映画のオチとしては、リナの思い込みでしたなのか、上手いこと信じ込ませましたなのか。リナの思い込みなのだろうとは思うが、言い切れない感じがある。

ジョニーが電車で女性と会うシーンは、リナと別れたその後を写しているのだと思うが、これが大きな伏線になっている。映画を見ている最中に、ジョニーとリナが別れるということを示されているが、このことから2つのことが暗示されているように思う。
①リナが殺された後
②リナと別れた後
の2つ。話の流れを追っているものにとって、①が強く頭をよぎるはずだ。しかし、それも裏切られる。

初めてヒッチコックの作品を観たが、光と陰による演出に息を飲んだ。ジョニーが飲み物を運ぶ際の、顔が黒く飲み物だけが光る演出や、二人の家に落ちる陰が蜘蛛の巣のようになっていることによる暗示など。

次は『サイコ』か『鳥』を観る予定。
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