horahuki

断崖のhorahukiのレビュー・感想・評価

断崖(1941年製作の映画)
3.5
もしかして夫は殺人鬼なの?

良い人そうなイケメンと結婚したらクズ男だった系の結婚ムズイよサスペンス。ギャンブル→借金→ギャンブルの無限ループ。更には多額の横領まで…。表向きは良い人なのに、呼吸をするかのように嘘をつき裏には計り知れない深淵の闇。

妻の実家が超金持ちなもんだから、もしかして自分の命まで…。いやいや流石にそんなはずは…と誰にも相談できずに思い悩む奥様の危機感がスリリング。結婚したパートナーであったとしても別の人格を持つ独立した人間。そこには当然知らない顔があって…ていう良くある展開なのだけど、女性の社会進出が進んだ当時の時代背景をもとに、結婚への憧れと抑圧からの解放を同ベクトルでまとめることで彼女の結婚に対する態度を示し、それにより見たいように見ていたい希望の側面と本心では気づいているけれど抑え込みたい絶望の側面で揺れ動く心理表現に重みが格段に増してる。そしてその綱渡り的な彼女の機微がラストのサスペンス描写に集約していくのは流石のヒッチコック!

良く言われる「白く光る液体」のシーンは圧巻!光からの逆光と暗闇の階段。毒殺の本、「100年経っても人は殺せない」の言葉、疑わしき事件等々、全てがここのためにあったと言っても過言ではないほどの圧倒的な恐怖シーン。そんでここがフレーダの『ヒッチコック博士の恐ろしい秘密』で引用されてます。

ちなみにタイトルの『断崖』は何度も出てくるんだけど、その断崖を買い取って開発して大儲けしようとか一文無しが言い始めたから笑ったわ😂しかも資金は全部友達頼り。マジでクソ野郎やん🤣🤣
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