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ウエスタンのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

ウエスタン(1968年製作の映画)
3.6
ウェスタンの傑作ですが、西部劇初心者の私には無口な登場人物ばかりで、味わい方がわからず、もう少し西部劇の経験値高めてないと楽しめないマニアックな作品と感じました。西部劇といえば『駅馬車』の刷り込みがあるので。

構図が非常に美しく、セットはダイナミックで、西部劇のエッセンスを楽しみました。不穏なハーモニカやもの悲しい音楽、効果音が非常によかったです。機関車が停まっている時の呼吸するような機械音に生き物を感じました。完成度の高い作品だとわかります。

ただ、もったいつけたように間合いが長くて、引き金を引くのか………(30秒)……………引かなかった、とか、濃いい人物の無言のどアップが長く静止画のようで、どこ観ていいかわからず、それがつらかったです。

主役はどっちなんだろう。初めての悪役というヘンリー・フォンダか、復讐に燃える謎のハーモニカ男チャールズ・ブロンソンか。

ヘンリー・フォンダ演じるフランクは非道で冷酷。初めての悪役とは思えないほど、薄ら笑いと美しいブルーアイが人間味を消し去り静かな凄みがあって恐ろしかったです。

チャールズ・ブロンソンをネイティブアメリカンやメキシカンに思ったことは一度もなかったのに(CMのう~んマンダム、男の中の男の影響か)、西部劇の中ではそういう役回りが多かったそう。確かに西部劇の中ではそう見えなくもない不思議。そして口角が上がって愛嬌があり人間味を感じる。真の悪役は似合わない。

最初30分ほど、髭もじゃの浅黒いガンマンばかりで誰が悪者か主役かわからなかった時、お尋ね者シャイアン役のジェイソン・ロバーズが主役だと思いました。最もわかりやすい素直な演技だったから。

『リバティ・バランスを射った男』
にも出ていた存在感あるウディ・ストロードがここでも黙っているのに存在感ありました。でも最初だけで出番が短い。黒人として初めて準主役級を演じた人気俳優。トイ・ストーリーのウッディはこのウディ・ストロードから来ているそう。画面の隅にちょっと映っているだけなのに妙に気になる存在。あえて主役を断り、主役を引き立てる脇役に徹した俳優魂がカッコいいです。これから西部劇を楽しむならウディ・ストロードに注目です。

クラウディア・カルディナーレはここでも小悪魔。美しいが気が強くたくましい未亡人。

最初の方に直ぐに死んじゃったクラウディアの婚約者も雰囲気がとてもよかったです。フランク・ウォルフ。マカロニウェスタンで活躍。

砂煙の立つ荒野に開拓民が町を作り、鉄道をひくためには、水の確保が重要で、それは暮らしのためだけでなく、蒸気機関車に水を補給する駅が必要だから。水があれば機関車は停車し、駅となり、町は栄える。という仕組みがわかりました。

西部劇初心者にはなかなか深みを味わえなかったと思った割には長文レビューを書いてしまいました。

観ている間はゆっくりな展開と動きに戸惑ったのですが、時代劇の殺陣も相手の隙を狙うから、同じくチャールズ・ブロンソンがヘンリー・フォンダの隙を狙うための二時間半だったと考えればいいのかな。

『Once upon a time in the west』が原題。邦題が『ウェスタン』そのものなのは西部劇の決定版だということなのでしょう。  

西部劇初心者なので、もう少しわかりやすい方がよかったです。経験値高めよう。時代劇も合わせて観て行こうと思っています。影響を受けあっているらしいので。
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