ペイン

ウエスタンのペインのレビュー・感想・評価

ウエスタン(1968年製作の映画)
4.7
“西部劇版「2001年宇宙の旅」”とも言えるような神話的アート作品。

風車のきしむ音、ハエの羽音、列車の走る音、一見冗長にも思える間、濃い~俳優たちの顔面クローズアップ…(笑)1つ1つに目と耳をよく澄まして観て欲しい。そのすべてがこの“芸術品”の一角を成しているのだ。

また本作の音声解説がまじ最高なので聴くこと必須!あのベルナルド・ベルトリッチやジョン・カーペンターといった監督たちが“あのシーンは絶対にスタジオ撮影だ!”とか、“あのシーンはロケだ!”とか、映画少年の如くキャッキャ騒いでいます←冒頭のとあるガンマンのアゴにハエが集るシーンでまさかアゴにマーマレードが塗られていたとは!(笑) 

ただそんな本作、今でこそ映画史に残る不朽の名作という立ち位置だが、当時は賛否両論で、やっぱり今観ても“ヘン”な映画であることには変わりない。それこそある種、デヴィッド・リンチやN・W・レフンの映画を観ているかのような監督のフェティシズム全快な映画でもあるので万人が観て“面白い”と感じるタイプの西部劇ではない。

それでも老いて去り行くガンマンの哀愁、新しい時代を背負っていかなければいけない女の宿命に…私はラスト、涙で霞んで画面が見えなくなってしまいました。

御大、ジョン・カーペンター監督の言葉を借りるならばまさに“ウェスタンオペラの名作”である。

P.S.
そして本作から50年の月日を経て新たに作られたタランティーノ版「ワンス・アポン・ア・タイム~」…皆さんのレビューが絶賛で溢れている…大いに期待したいと思う🙏(明日、観に行く予定)
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