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オーケストラ!のhirogonのレビュー・感想・評価

オーケストラ!(2009年製作の映画)
3.9
ラストの「チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲」の演奏シーンが圧巻!
この演奏シーンを感動的にみせるために、それまでの前振りがあったといってもいいようなコメディ映画です。というわけで、ラストにもっていくまでの展開にはやや無理もありますが、クスっと笑いながら流して見て下さい。実際ツッコミたくなる部分は、笑える感じになっているところが多いです。

ボリショイ交響楽団にパリの劇場シャトレ座から出演依頼のFAXが届く。
清掃員のアンドレイ・フィリポフ(アレクセイ・グシュコブ)が、そのFAX内容を読んだことから、「本物のボリショイ楽団の代わりに、自分達がパリに行こう」という突飛なことを思いつきます。
フィリポフはかつて、ボリショイ楽団の名指揮者として活躍していたのですが、30年前のユダヤ人排斥政策でユダヤ系の楽団員が楽団を追われ楽団も解散していた。
フィリポフは、元KGBのボリショイのマネージャー、ガヴリーロフをうまく抱き込み、かつての楽団員を集めてパリに乗り込みます。
パリ到着前後の描写はコメディ感覚で笑えます。
空港での偽造パスポートの作成場面、パリ到着後早々にお金をせびる様子、ホテルに着くや否や各自それぞれの目的で街に繰り出す楽団員達、パリのKGB同志に会おうとするガヴリーロフ…。
楽団員達は、30年間の楽団解散後のそれぞれの生活があったわけで、パリでもその生活を引きずった個別の目的があるようで、演奏しに来たんだか何だかよく分からない(笑)
この辺のコメディタッチの描写が、ラストの素晴らしい演奏を際立たせています。

フィリポフは、パリでは、アンヌ・マリー・ジャケ(メラニー・ロラン)と”チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲”を演奏することに拘っています。
その理由には、30年前のユダヤ人排斥事件が関わっているのですが…。

ストーリーとしては、フィリポフとジャケの生い立ちが肝ですが、それ程捻った展開ではないので予想範囲です。やはり、それらの秘密が明らかになった後、それまでの前振りをベースとして、リハすらしなかった楽団員とジャケが奇跡的な演奏を披露するところが感動的です!

アンヌ・マリー・ジャケを演じたメラニー・ロランが美しく、ヴァイオリン協奏曲を弾く姿には、目が釘付け状態でした(笑)
鑑賞後に調べたら、あのヴァイオリンソロの演奏シーン、メラニー・ロランがレッスンを受けて代役なしで撮っているそうです。凄い!
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