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ミーン・ストリートのmat9215のレビュー・感想・評価

ミーン・ストリート(1973年製作の映画)
3.5
生き方が定まらない若造のぐだぐだ話が、フィルムノワールのような漆黒の画面で、ニューヨークの薄汚い(ミーンな)街を舞台に描かれる。流れる音楽は、オールディーズ、ストーンズ、ソウル、それにイタリア語の歌謡曲やオペラ。スコセッシ、なかなかいいではないか。『タクシー・ドライバー』は「都市の狂気」といった図式に回収されやすい(いや、それを狙っていたのかも知れないけど)のに対して、本作は高尚なテーマなどかけらも狙っていないところに好感が持てる。いや、もちろん十代の頃は『タクシー・ドライバー』に打たれたのだけど。生真面目なハーヴェイ・カイテルと、徹頭徹尾だめだめなロバート・デニーロのコンビがよろしい。命を取られるような借金が2000ドルというセコさもリアルで泣けてくる。デニーロの肉体にも、スコセッシの演出にも贅肉がない。場面を転換するショットつなぎの潔さ。
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