むぅ

サマータイムマシン・ブルースのむぅのレビュー・感想・評価

4.2
それはもう、死活問題!

39度のとろけそうな日
炎天下の夢 Play Ball Play Game!
「せーの」で走り出す

シャッフルにしていたiPodから、センチメンタルバスのこの曲が流れた。
控えめに言って生死に関わるのでは、と怯えながら聞いてしまった。とろけるで済めば良い。
ただでさえ「せーの」と走り出したくなんてないのに。
いわんや39度の日をや!


8月20日。
SF研究会の5人が、昨日壊れた部室のクーラーのリモコンをゲットすべく昨日と今日をいったりきたりする、タイムマシンの無駄遣いが始まる。


そういう物語だという認識だった。
この作品、毎年更新される「もうこの夏を越せる自信がない」と思わせる暑さゆえに、年々共感されるようになるのではないかとさえ思ってしまった。
例えば今日。
そこにエアコンがあるのに。
リモコンが壊れているせいでつかないなら。
そしてそこにタイムマシンがあったなら。
私も「せーの」と言ってタイムマシンに乗りリモコンを目指す。
無駄遣いではない、と思う。

おそらくタイムマシンで平安時代に放り込まれても難なく生きていけるであろうと思われる、ほっとくと日がな一日短歌を詠んでいる母。タイムマシンを与えたら武士の世に行き、帰って来ないかもしれないと思われる、早朝に近隣の公園で竹刀で素振りをする趣味は剣道と弓道という父。
その2人の元で育った私の脳内に理系の要素は皆無。
だからと言ってはあれだが、タイムパラドクスに1ミリの疑問もわかない体質である。
タイムトラベルに至っては、学習机の引き出しに入ればいいんだよね、というレベル感である。

タイムトラベルの物語を楽しむための要素の一つとして、「それをしたら、あれが!」という危機感を一緒に楽しむ事というのがあると思うのだ。
それゆえに、タイムトラベルの話は面白いと思いつつも、その真髄を味わえているのか?と思うと、否という気がしている。
そんなこんなで後回しにしていた今作。
観たいなと思わせてくれる愛に溢れたレビューを読んだので、金魚のフンをすることに。

きりんさん🦒
面白かったです!

そのタイムトラベルから生じる矛盾点に一切ついていけないメンバーがいるので、同じく「ん?ん?なんで?なんでみんな焦ってるの?」となる身としては、置いてけぼりにならない。
また、若かりし頃の佐々木蔵之介がタイムパラドクスを板書で説明してくれるので更に安心。
しかも、おそらく佐々木蔵之介、字が綺麗な予感がする。
[昨日 今日]という文字くらいしか書かず後は線と矢印の板書だが、それでもそう思った。
良い。非常に良い。


暑い夏の日をわちゃわちゃといったり来たりする様はブルースというよりは、盆踊り、いや"ええじゃないか"。
いや、やっぱり「Sunny Day Sunday」
確かにあの夏の日、私にも「せーの」と走り出す生命力や、それと知らずにプシュとして1人ビールシャワーで大爆笑したBBQがあった。

そう思うとブルースなのかもしれない。
もうすぐ夏も終わり。
ここ数年、私に秋を一番に教えてくれる缶ビールの秋味を買って帰ろうと思う夕暮れ。
むぅ

むぅ