ぐみちょこ

コーラスのぐみちょこのレビュー・感想・評価

コーラス(2004年製作の映画)
5.0
音楽教師のクレマン・マチューは舎監として問題児の集まる寄宿学校にやってくる。最初こそ問題行動を起こす生徒たちだったが、音楽を通じ次第に心を通わせていくー

・少し似た設定の作品「スクール・オブ・ロック」が楽しいエンタメ作品なのに比べてこちらはしっとり、暖かい、少年たちと教師を描く音楽ヒューマンドラマです。さして大きな転の展開があるわけでもなく非常にシンプルなのですが少年たちの歌声、マチューと生徒たちが心を通わせていく姿はじわじわと迫る感動があります。
何と言ってもラストが本当に大好きで!
あの子達らしい、精一杯の見送り方が過剰な演出でないからこそ心に残ってぐっとくるんです。紙飛行機飛ばしたくなります。

・目には目を、歯に歯をではなく、問題児には音楽を。マチューの教育方針はまさにお手本のような指導で少年たちの心を掴んでいきます。
マチュー役のジェラール・ジュニョ氏はちょっと頭の光が強い(褒め言葉です!)丸っこいおじいちゃんですがコミカルさや可愛さも兼ね備えていていかにも老教師感が役柄にぴったり。

校長やモンダンといったスパイス的なキャラが出てくるのもまた良いところ。校長はなんでも力でねじ伏せようとする問題教師で、モンダンは善悪の区別がつかないS級のDQN。2人共いかにも悪役といった感じで最後まで芯を曲げずブレない悪役です。そんなフランス映画らしい、世の中そんなうまくはいかないよねっていう部分もきちんと盛り込んであります。救いもどこかにあったはず、という希望も匂わせながら現実的に描く作風は個人的に好きです。

・生徒にもメインとなる人物が2人居ます。天使の歌声の才能を持った少年"モランジュ"と、孤児でいじめられっ子の"ペピノ"。彼らもまたそれぞれ成長し、自分の未来を自分で選択していく姿が描かれます。
モランジュは最初こそぶっきらぼうな表情を浮かべているだけに歌う喜びを知った後に見せる表情がまさに必見です。
ペピノはやっぱりラストが見所ですが、問題児に混じった天使といった感じでころころ動く姿が全体を通して可愛らしく癒されます。

・キャストの少年たちはオーディションに合格した素人の少年たち。あどけなく、ぎこちなさも目立ちますが等身大の少年が演じる姿はこの作品に必要不可欠な存在。
歌声自体は合唱団の歌声と演者の少年たちの歌声をミックスしているそうです。モランジュ役のモニエ君はもともと少年合唱団に入っていたこともあり今でもプロの歌手なんだとか。
曲も音楽も作品の雰囲気にぴったりでこれまた最高!

・余談ですが同監督の「幸せはシャンソニア劇場から」はマチュー役のジュニョ氏、ペピノ役のマクサンス君などが共演しているのでこちらもオススメ。

毎年必ず2.3回は観直しています。
優しくて、暖かくて、大好きな作品です。