みんと

25時のみんとのレビュー・感想・評価

25時(2002年製作の映画)
3.8
麻薬密売の罪で収監される迄の一人の男の24時間を描いた作品。

エドワード・ノートン演じるモンティの悲哀が演技の域を超えてひしひしと痛烈に伝わってくる。

全てをアメリカ社会のせいにしてしまうには弱すぎる心、けれど一端を担っているのも否めないない事実。
そしてそれを止められなかった父親、友人、恋人、それぞれの心の動きが繊細に丁寧に描かれていた。

911直後のニューヨークの風景や心情、何処か物悲しさも加わってモンティ自身とシンクロしてさえ見えた。

特にクライマックスに向かうにつれモンティの後悔と絶望感は増す一方で、願望とも思える妄想はどこまでも痛々しく切ないものだった。

ただ観終わってみると、あの冒頭のシーンがくっきりと蘇る。瀕死の状態の犬を助けた時に既に心は決まっていたのだ。

心の弱さが引き起こした結末は、実は再生へと向かう究極の第一歩のようにも思えた。
みんと

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