ジャイロ

襤褸と宝石のジャイロのレビュー・感想・評価

襤褸と宝石(1936年製作の映画)
3.7
なんかもう色々とすごい
粗削りなパワーを感じましたね
そんな映画でした


スクリューボール・コメディの女王

キャロル・ロンバート

『生きるべきか死ぬべきか』では実にふわふわしてましたが、本作では、実にめんどくさい(失礼)、とらえどころのないヒロインを演じてました。

そんなキャロル・ロンバートさんですが、本作で共演したウィリアム・パウエルと結婚し、ほどなく離婚。後にクラーク・ゲーブルと再婚し幸せな日々を送ったそうです。しかし、そんな幸福も束の間、不慮の飛行機事故により若くしてこの世を去ってしまうんですね。享年33歳。不思議な魅力のある女優さんです。

ウィリアム・パウエルはどこかで見たことあるなと思っていたら『ジーグフェルド・フォリーズ』にも出てましたね。本作では立ち居振舞いが実に様になってる紳士でした。

とにかくユージーン・ポレットの存在感ね。『レディ・イヴ』『天国は待ってくれる』のインパクトそのまんまなキャラクター。味があるなあ。

お姉さん役のゲイル・パトリック。この人の存在感もすごい。鼻持ちならない金持ちの役なんですが、完全にヒロインを食ってました。どことなくマレーネ・ディートリヒに似てるような気がしますよね?そう思うの私だけ?


この映画、というかこの家族、とにかくよく喋る。カーロという人間も飼ってるし、日常生活が呆れてしまうほどのカオス。ついていくのがやっとでした。展開がまったく読めない。次にどうなるのか分からない面白さはありました。

なんていうか、水戸黄門とか暴れん坊将軍的な面白さとでも申しましょうか。そこに破天荒キャラてんこもりで、振り回され、ひっかき回されて、ぐちゃぐちゃになります。それでも最後は綺麗に着地してました。まあ多少強引でしたが、それぐらいが丁度いいんでしょうね。スクリューボール・コメディなので。

それにしてもお母さん役のアリス・ブラディさんの笑い方。引き笑いなのかな?キャロル・ロンバートにまで伝染っちゃうし、なんだかよく分かりませんが、後を引きますね、これ(笑)

全体的に面白かったです。