ひろゆき

アーティストのひろゆきのレビュー・感想・評価

アーティスト(2011年製作の映画)
3.8
銀幕短評 (#195)

「アーティスト」
2011年、フランス。 1時間 40分。

総合評価 75点。

1930年頃のアメリカ ハリウッドを舞台にしたフランス作の無声映画。当時のアメリカはサイレント(無声映画)からトーキー(有声映画)への過渡期にあり、この時代背景をうまく取り込んだ筋立てとしている。

無声映画なので、ストーリー進行上で最低限に必要なセリフだけを英語字幕のスライドで示す。この映画のスゴイところは、全編で オーケストラの音楽を画面とシンクロさせ、セリフの不在を補って余りあるところ。

筋書きとしては先の先まで読める見え透いたものではあるが、音楽と映像の美しさ、演出の巧みさで、全体をバランスよく良質なものに仕上げている。

ステキな見どころはたくさんあるが、わたしが一番気に入ったのは、女優として成功した彼女の作品を 彼が映画館にひとり観に行く短かい場面。周りの観客は流行のトーキーのセリフを聴いて大いに盛り上がっているのに対して、サイレントの世界から自身が脱することのできない設定の彼は、周りの喧騒もまったく聞こえずに彼女の(彼には無声に見える)演技のみに感慨深く見入っている、という切ないコントラスト。このアイディアは秀逸である。

アカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞、作曲賞などを受賞しています。

といえば、ことしのアカデミー授賞まで あと1ヶ月になりましたね。うわさの「グリーンブック」の出来栄えを早くチェックしたいところですが、劇場公開が授賞日の一週もあとなんですね。つまらんなあ。
ひろゆき

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