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DOGTOWN & Z-BOYSのAKALIVEのレビュー・感想・評価

DOGTOWN & Z-BOYS(2001年製作の映画)
5.0
何も気の利いたレビューを書けそうにないが、まずは一言だけ。この映像作品は、映画の自由であり、あなたの自由だ。スクリーンからは「何かアンタもやってみろ!」と伝わってくる。

堅っ苦しい「枠」など飛び越えていく、多くの人を巻き込んだ1970年代Los Angelesのサーファー/スケボー少年少女たちが起こした「革新」についてのドキュメンタリー。


音楽で例えると、Elvis Presley、Little Richard、Chuck Berry、Buddy Holly、Eddie Cochran、Bo Diddleyらのワイルドな音楽*⑴を、ラジオに乗せて、さらに『The Founder』で描かれたような「マクドナルド」の革命 等(「フォード」も含む。David Halberstamの『THE FIFTIES』も読んでみたい(!))と一緒に浸透させていった「ティーンエイジャー」を「主役」とした「ファースト・インパクト」(?)があった。

映画で例えると、Arthur Penn、Mike Nichols、Francis Ford Coppola、Dennis Hopper、Peter Fonda、Robert Altman、Bob Rafelson、Hal Ashby、Sidney Lumet、Miloš Forman、George A. Romero、Martin Scorseseら…Gene Roddenberryも、が「アメリカン・ニューシネマ」*⑵を公開していく1960〜1970年代にもそれはあった。

*⑴ Elvis PresleyはMemphis, Tennesseeでアフリカ系アメリカ人と共に10代を過ごした。彼はホワイトでありながら、Blues、Rhythm and blues、Gospel、Jazz、Hillbilly music(Country & Western music)を混ぜたPop musicであるRock'n Rollを歌ったシンガーの1人。
Chuck Berryは「恋愛」、「車」、「スクール・ライフ」など10代の若者の日常(特に白人(?!))について歌ったシンガー。
Little Richardは…あぁ、字数。

*⑵ Mike NicholsはBerlinに生まれ「Nazi」の迫害を逃れる。家族はバラバラに発ち、アメリカで合流した(!)。『The Graduate』では、顔も名前もあからさまなユダヤ系であるDustin Hoffmanを抜擢した。当初、主役候補だったRobert Redfordは「君はフラれたことがある?」と聞かれて「何言ってんすか」と憮然と答えた、するとMike Nicholsは彼の出演を断った。映画は製作費: 300万ドル、興行収入: 1億500万ドル弱。
『Easy Rider』のDennis Hopper、Peter Fondaは常に(?)旧「ハリウッド」と軋轢があり(?)、
Sidney Lumet、Don Siegelは、前者は1940年代に〈The Actors Studio〉の母胎を作り、1950年代売れっ子演出家に、後者はMichael Curtiz『Casablanca』、Howard Hawks『Sergeant York』『To Have and Have Not』などでSecond Unit DirectorやAssistant Directorを務めた。
旧「ハリウッド」勢を巻き込んだ革命だったという。…書き切れない。


要はそういうこと。
サーファー/スケボー少年少女たち(とその周り)が何が凄かったのか、を現在の本人たちによる振り返りと、当時のフォトグラフを活用し、それで「映画」にしていく。『Kids』〜『Ken Park』の間に上梓された。全編に渡って観せられるのは、Larry Clarkのポジティヴな側面。
かなりアガる。


あ、そうだ「ゴミくず」の話をしよう。
どうしても観たい、いや死ぬまで観れなくたっていい映像作品の一つに『jackass』がある。
Created by
Johnny Knoxville、Spike Jonze、Jeff Tremaine なんだけど。
「Johnny Knoxville」ことP.J.Clappが雑誌への持ち込み企画(しょーもないやつ)を門前払いされているところにMiloš Forman『The People vs. Larry Flynt』(1996)でも知られるLarry Flyntが出版するスケートボード雑誌『Big Brother』*⑶の編集者Jeff Tremaineが、それに目をつけた。しかも、その模様を撮影して、ヴィデオにすることを提案。その結果、リリースされたヴィデオは、あっという間にスケートボード界を中心としたアンダーグラウンド界隈で、一躍評判を集める。彼はのちのjackass franchiseのエグゼクティヴ・プロデューサー兼クリエイターだ。Spike Jonzeに声が掛かったのは知り合いだったからという。

*⑶ 1997年にLarry Flyntが『Big Brother』を買収した後には「下品さは残りましたが、ヌードは完全に弱められるか、完全に廃棄されました」(Google翻訳)って、ほんまかいな笑
『Big Brother』の購読者リストとLarry Flyntのハードコア・ポルノ雑誌『Taboo』の購読者リストが混同してしまう事件が起きたこともあるそう。どうなったかは…分かりますよね笑


ー"ピーター・パン"の物語では、彼は孤児たちを連れてフック船長を倒す。だが俺の世界では、俺がフック船長で、ピーター・パンを子供たちと倒し、全員を海賊にした (by Skip Engblom, Zephyr shop co-founder)

「I Wanna Be Your Dog」
「Foxy Lady」
「Children of the Revolution」
「Bad Reputation」

と最高の音楽に合わせて彼ら彼女らのスケートを楽しめる。Hip hop前夜。この楽曲群は「反逆」と「猥雑さ」の象徴だ。

中でも最も輝きを放つのはJay Adamsだ。

彼が坂の上から一直線に滑る映像にこの映画はJimi Hendrixの「Freedom」をのせた。



彼が Jimi Hendrixならば、Tony Alvaは Mick Jagger、Craig Stecykは Hunter S. Thompsonだ。今もこんな面白いシーンが世界のどこかにはあるんでしょうね!
そして『Big Brother』のドキュメンタリー『Dumb: The Story of Big Brother Magazine』(2017)も観てみたくなった。
『Big Brother』のSteve Roccoのドキュメンタリー『The Man Who Souled the World』(2007)はネットに転がっているのを観るからに『jackass』風で、ジョークだろ、不謹慎だな、ってやつ。これは別にいいかな。
でもこれが「アメリカ」なんだなって思う。それが行き過ぎて新年早々قاسم سلیمانی‎(英語表記: Qasem Soleimani)を暗殺してしまうんだろうけれど。

かつて、George W. Bushは大統領に就任するやいなや、イラクの軍事施設を空爆した。2001年2月16日だ。

我々の暮らす世界なんて、こんな風に、些細なことでボロボロと「音」を立てて崩れていくのだろう。その時の「映像」も凄まじいのだろう。

でも聞いてください。
Thom YorkeとRachel Owenの間に産まれたベイビーは「Noah」と名付けられたんですよ(笑)。それも2001年。しかもNoah YorkeはLuca Guadagnino『Suspiria』(2018)のサウンドトラック、Thom Yorke『Suspiria』中の「Has Ended」と「Volk」でドラムを叩いているんですよ(笑)。
そう。この『DOGTOWN & Z-BOYS』も2001年。

めちゃくちゃ(笑)な2020年ですけど、Grimesもお腹にベイビーがいるそうで。
「下手するとアルバムの内容以上にワクワクしませんか? まったくの他人事かつ三面記事的な話題ながら、彼女が母親になるなんて。実際の父親が誰であれ、彼女/彼/彼らはグライムスことクレア・バウチャーとイーロン・マスクの子供として育つわけですよね。スターチャイルドって、その子のことなんじゃないかな。なんて。」(©︎田中宗一郎)
小さな希望の光りもありますよね?

その一方でこんな言葉がまた聴こえてくる。

You are the all-singing, all-dancing crap of the world.

1999年にRed Hot Chili Peppersは『Californication』をリリースします。彼らはこのアルバムで、俺たちは宇宙のチリなんだ、と宣言している。そしてその後はこうです。

https://youtu.be/fXdtn0PXNXM
2000年のRHCP。
https://youtu.be/SQDGUv-HKEQ
これは何年だろ?
こんな態度で彼らはその後も生き延びたでしょう?

Like a monkey ready to be shot into space. Space monkey.
自由を得るためには「やるんだ」という気持ちが必要なんです。
例えばこれ。
http://www.tobinyelland.com
ここに映っているのはただの「オシャレ」な人達ではない。「やるんだ」と決意した人たちです。

Mike Mills(『Skating with Dave and Jared』や『Deformer』など数々のショート・フィルムや、Air「All I Need」など数々のミュージック・ヴィデオ、レコード・スリーヴ、Adidas、Nike、GapのCM、長編映画では『Thumbsucker』、『Beginners』、『20th Century Women』を撮り、もうすぐ『C'mon C'mon』が公開される(のか?))
https://www.fuze.dj/2017/06/mike_mills_interview.html
彼が言っていた言葉があって、いま、雑誌が探し出せないんだけれど、確か、スケートボードの上では自分は何者でもなくなる、とか云々だったよな。ちくしょう。
でもLarry Clarkが完璧に言い表していたので、そちらの記事のリンクを貼っておきます。
https://www.google.co.jp/amp/s/amp.amebaownd.com/posts/1372571
「ものすごく自由を感じられるからね。どれだけ最悪な気分で、クソみたいな世界に押しつぶされそうな時でも、スケートボードに乗って滑り始めれば5分ですべての心配が消える」

映画の最後はSkip Engblomのある短い言葉で終わる。それは、観てのお楽しみです。その言葉からは、やってやる!住んでる町がイケてるイケてないは関係ないよって聴こえた。
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