菩薩

グレースと公爵の菩薩のレビュー・感想・評価

グレースと公爵(2001年製作の映画)
3.8
英国出身でありながら熱心な王党派であるグレースとルイ16世の従兄でありながら革命派の側についたオルレアン公、かつて恋愛関係にもあった二人の友情は政治的信条を超えたところで強く結ばれていたが、そんな二人の関係性をフランス革命の動乱が切り裂いていく…なお話。革命に託けた市民の暴走と法を超えた私刑の応酬、右か左かを求められ中道を行こうものなら非難され、共に一歩間違えれば自らの首にギロチンが飛ぶ混乱の最中、二人はどうにかして時には共に手を取り合い生き抜いていく術を模索する。37枚の背景画の中に登場人物をCG合成させ当時のパリの街中を再現する独特のつくり、めちゃくちゃ意識高い電波少年みたいで最初は多少違和感があるが、慣れてくると豪華な舞台を観ているな気分になる。世界史大好きマンだったから17年前の俺であれば出て来る固有名詞に逐一反応出来たろうが、もはや老境を迎えた脳味噌にはその欠片はほぼ残されていない様で悲しい気持ちになった(関係ない)。政治的信条と人間関係って本当に難しいが、最低限の冷静さは常に持っておかないと、一方の大きな声に更に大きな声で返してしまってはなんの前進も得られないし行き着く先は疑心暗鬼の陰謀論、ってのが今の日本だから尚更悲しい気持ちになった(関係ない)。差し出された椅子を私は大丈夫ですからと譲れるくらいの心の余裕は常に持っておきたいところだ、優先席には絶対に座らない男こと私である。
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