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恋人たちの時刻の一のレビュー・感想・評価

恋人たちの時刻(1987年製作の映画)
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海辺のオープニングシーン、仙元誠三の撮影かなり気合い入っててワクワクさせられる。爽やかなサーファームービーになるのかと思いきや、しかしそこは荒井晴彦印の童貞ムービーなのだった。垢抜け童貞が板についている野村宏伸、存在そのものがもう不安感を催すのに河合美智子への付きまといが常軌逸しててゾクゾク。やっと漕ぎ着けたデートの待ち合わせの合間に腕立て伏せしてるのもヤバいし、初めは河合を「あなた」「キミ」と呼んでいたのに途中から急に「お前」呼びになるかんじとかもたまらない。一言で言えば沢山の男と寝てきた女を許せない男のエゴの話。こんな脚本を荒井が真顔で書いてるんだと思うと笑けてくる。絵沢さんや宮下順子らロマンポルノ女優のちょい出演はまあ嬉しいが、白塗りの山口美也子と男二人のコンテンポラリー舞踏は何なんだったんだ。彼女らは誰も脱がないのに、河合の脱ぎっぷりの良さだけが際立つ。『野獣刑事』のいしだあゆみもだけど、女優のヌードで客集めようというこの時代のメジャー映画の風潮ほんと恐ろしい。
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