皿鉢小鉢てんりしんり

神経衰弱ぎりぎりの女たちの皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

神経衰弱ぎりぎりの女たち(1987年製作の映画)
4.0
全カット、全シーンが全部面白い。誇張ではなくほんとに。アルモドバル、このテイストに帰って来てくれないものか……
オープニングクレジットからして最高。ポスターデザインみたいな一枚絵が次々と。で、冒頭いきなりミニチュア映して、「私がここに移り住んだのは……」というナレーション。いや、ミニチュアでしょ、それ、ともういきなりかましてくる。で、後から不動産の話が絡んできてそれねって分かるという仕掛け。で、そこのバルコニーがまたやばい。あまりにも出来すぎてるんで最初、別の場所の撮影スタジオかなんかかと思った。
もう面白いところしかないので、言えばキリがないけど、テレビつけたら、殺人鬼の服の返り血もこの通り真っ白という狂った洗濯CMやってるとことか、フェミニストの弁護士に相談するぜっつって会って1分もたたずに決裂してぶん殴って帰ってくるとか、嘘をつけないエホバのババアとか……会ったらこういう風に言っといてっていうお願いに対して、「私は嘘はつけないので、訊かれたら正直に言います」って一体誠実さとはなんなのだろうか……
キチガイのババアが、バイク2人乗りして拳銃発砲してくるクライマックス、なんと言ってもババアの横顔をアップにしたショットが素晴らしい。えもいわれぬ高揚感がある。
精神病院から“治ったふり”をして出てきたってのも良い。あそこって“狂ったふり”で入れてもらえるけど、“治って”も出してもらえないところだから。