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ヴェラクルスのnagashingのレビュー・感想・評価

ヴェラクルス(1954年製作の映画)
4.0
敵と味方が複雑に入れ替わり、いったい何巴の争いなのかわからない。食わせもの連中のピリっとした緊迫感と軽妙なやりとりの混淆、静と動の緩急、高低差を強調した見下ろす/見上げる構図の反復など、あらゆるレベルで対立する二項のシーソーゲームがとてもスリリング。その運動の中心に座する、つねに裏切りの予感を孕んだドライな友情が痺れるほどかっちょいい! クライマックスの対決はかなりオビ=ワンvsアナキンを彷彿(兄弟くらいの年齢差、白いクーパーと黒いランカスターの衣装、決着の後に取り上げられる武器、長ずる者の潤んだまなざし)。緊張の糸が断ち切られた台詞なしのラスト2分間、それまでに封印されてきた情感が静かに爆発する。傑作。
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