タケオ

白いドレスの女のタケオのレビュー・感想・評価

白いドレスの女(1981年製作の映画)
3.7
『スターウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(80年)や『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81年)の脚本で知られるローレンス•カスダンの初監督作品となる本作は、50年代に制作されていた往年の「フィルム•ノワール」を見事に80年代へ蘇らせた文句無しの傑作だ。伝説的な活劇映画を手掛けてきたこともあり監督のカスダンは、「フィルム•ノワール」を一瞬たりとも目を離すことのできない'人間の欲望が疾走する悪夢のようなジェット•コースター'として巧みに描き出す。主人公のネッド(ウィリアム•ハート)を夫の殺害計画に巻き込む魔性の女マティ•ウォーカー(キャスリーン•ターナー)は、映画史に残る正に最凶の「ファム•ファタール」である。一度はマティに家から追い出されたネッドが諦めることができず窓を叩き割り、中にいる彼女とコトに及ぶシーンは非常に鮮烈で印象的だが、本作がデビュー作となる若きキャスリーン•ターナーには全てを犠牲にしてでも手にしたいような妖しい魅力が確かにある。そしてそんな彼女に魅了されたが最後、待ち受けているのはもちろん破滅的な結末だ。しかしそれでも、妖艶なファム•ファタールの罠に狂わずにはいられない。そんな哀れな男のマゾヒズムをゾクゾクと刺激する至高の「フィルム•ノワール」として、本作は今日もまた私の中で輝き続けている。
タケオ

タケオ