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ヨーク軍曹のHKのレビュー・感想・評価

ヨーク軍曹(1941年製作の映画)
3.5
タイトルだけは知っていた古典的名作を初見。
ハワード・ホークス監督作です。
第一次世界大戦で活躍した実在の人物の伝記で、ゲーリー・クーパー(当時40歳)が初のアカデミー主演男優賞を受賞(2度目は『真昼の決闘』)した作品。

テネシーの田舎町に住むトラブルメイカーの青年アルヴィン・ヨークが信仰に目覚め、心を入れかえて働き一家を支え結婚するまでが前半。戦争になるのは終盤です。

ヨークは戦争で人を殺すのは神の教えに反すると兵役を拒みますが結局徴兵されてしまいます。
ところが七面鳥撃ちで鍛えた射撃の腕を買われ射撃の教官に抜擢されます。
初めは周りから疎まれながらも射撃の腕で注目されるところはキューブリックの『フルメタル・ジャケット』を思い出しました。

そしてある時、戦場で自軍が劣勢の中、ヨークは獅子奮迅の活躍で数々の敵を狙撃し、多くのドイツ兵を降伏させてその功績が称えられることになります。

本作が公開されたのは1941年、アメリカが第二次世界大戦に参戦した年。
多くの味方を救うためなら敵を殺しても仕方が無い、自由と平和を守るための戦争は止む負えないと割り切ったことで武勲を上げたヨークは、戦意高揚のプロパガンダ映画の役割を果たし、本作の大ヒットとともに当時若者の志願兵も殺到したそうです。う~ん・・・

本作は常にどこかと戦争をし、兵役という選択肢があり、それにより発展してきた歴史があるお国柄だからこそ、これまでずっと不滅の名作たり得たのではないでしょうか。
しかし、それも現代では戦争を正当化する方便として、もはや通用しなくなってきました。

でも、だからこそ、本作が当時のアメリカで大ヒットした事実を知る意味で、本作はやはり観るべく価値のある古典であり続けると言えるのでしょう。

牧師役のウォルター・ブレナンは本作の前年に公開された『西部の男』でもクーパーと共演しています。『荒野の決闘』や『リオ・ブラボー』での爺さん役を最初に知った私としては、『西部の男』や本作を観ると、こんな味のある役者だったのかと再確認できたのは収穫。
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