暴力と破滅の運び手

ヨーク軍曹の暴力と破滅の運び手のレビュー・感想・評価

ヨーク軍曹(1941年製作の映画)
4.0
牧師と町民たちが教会で集会を行なっていると突然銃を撃ちながら騒ぐ声が響いてきて、見れば3人の男がピストルを乱射しながら馬を乗り回していて、木の幹に正確無比に穿たれた「AY」という銃痕からヨーク家の長男アルヴィンの仕業だとわかる。牧師が“悪魔に取り憑かれた”彼の魂を案じて母親に話をすると、母親は次男に命じてアルヴィンを酒場から連れ戻させる。アルヴィンが農場の仕事をこなしていると牧師がやってきて神と魂の問題について説くが、彼は聞く耳を持たない。
そんなある日アルヴィンは近所の少女に一目で恋に落ちて求婚しようとするが、たまたま別の男とバッティングしてしまい、そいつが低地に肥沃な土地を持っているので張り合って低地の土地を買おうと低地の吝嗇な爺さんに掛け合うのだが、ロバや家財を売っても期日までに金が用意できなさそうということで期日を伸ばしてもらい、地元の七面鳥撃ち射撃大会の優勝商品である牛を手に入れて払おうと考えたのだが、しかし低地に肥沃な土地を持っている男が純然たる嫌がらせのために爺さんの土地を買い取っていたためアルヴィンはそれを手に入れることができず、彼はライフルを手に復讐しようと企む。しかしその途端雷に打たれて銃が使い物にならなくなり、帰路の途中にある集会所で行われていた宗教集会に立ち寄るや否や彼は突然敬虔なキリスト教信者になってしまう。
そんな折アメリカが大陸の戦争に参加し、“良心的徴兵拒否”も虚しくアルヴィンも徴兵されることになる。アルヴィンは射撃の腕を買われて伍長昇格のオファーを受けるが、それに宗教上の理由をつけて断ると上官たちはアルヴィンと信仰と武力の正当化についての議論をしたのち、“アメリカ建国史”を渡して彼に休暇を与える。アルヴィンは結局従軍することを選び、フランスに派遣されると塹壕戦にぶち込まれるのだが、“より多くの死を防ぐため”ドイツ兵を20人以上撃ち殺してたくさん捕虜を取り、英雄として扱われ、国に戻るとかつて買えなかった土地に州からの贈り物として家と農場が与えられていた。

演出がスピーディだし、ゲイリークーパーはゲイリークーパーだし、そういうわけで見ていて幸せな気分になる映画ではあるんだけど、戦争シーンの人の死にっぷりはちょっと尋常ではないというかかなり不気味。ぐるぐる人が回転して穴に落ちていく。