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シャッター アイランドのfilmoutのレビュー・感想・評価

シャッター アイランド(2009年製作の映画)
3.8
こういうのを見ると作家にとって大きな軸になるテーマは変わらないんだなと思わされる。

スコセッシ作品はほとんど長尺だけどモンタージュや反復によってそこまでの長尺には感じない。ジャンプカットは分かりやすいようで分かりづらく、こちらまでパラノイア的に物語を見失いそうになったり度々印象的に挿入されるスローモーションによって妄想に埋まりそうになる。そしてまた次のカット、わざと気付かされるようにクリアな音でそれまでの映像を過去に追いやる。
スコセッシは偏執狂的な主人公を据えて物語を描きたいのではなく、その語り方の中に主人公を置いた時に自動的に主人公が偏執狂になってしまっているのではないかとまで思える。

スコセッシのルーツであるイタリア移民二世である事やリトル・イタリーで育った事を考えると、彼の作品に頻出するパラノイアである主人公のあり方は彼自身を表しているようにも思える。周囲の環境によって自分はこうであると思い込まなければならなかったり、またその環境が一変する事で全く逆の視点にならざるを得なかったり、そういう事象が作品によって形を変えながら描かれているように思う。
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