改名した三島こねこ

シャッター アイランドの改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

シャッター アイランド(2009年製作の映画)
3.5
『タクシー・ドライバー』のマーティン・スコセッシが監督するミステリースリラー。異常者を収監する孤島で発生した失踪事件。その裏に隠された真実とは?

本作は検索サイトのサジェストに難解と出てくるくらいには複雑とされるが、こういった構造の作品に慣れていればそこまで難解ではない。トリックが開陳されてみれば作品の概略からして物語の根幹が提示されていて、あとはそれをいかにセオリー通りに読み解くか。

物語を複雑化するカットはきちんとその文脈のうちのものとわかりやすく断片化され、そこだけ抜き出せばストーリー化が可能。案外シンプルなので、視聴者次第ではちょっと物足りないかも。

本作は脚本がスコセッシではないので、いつもの憧憬を覚える暴力描写も希薄。また並外れた外道も存在せず、いつもの鮮烈な転落劇もない。あまり監督の色は期待しすぎないほうがいい。

ただ閉塞的な作風なのにどことなくお洒落に見えてしまうのはいつも通り。ラストのあの沈痛なカットもなぜだか陶酔してしまう。完全にスコセッシでないかと言われればやはりスコセッシなので、見て損はない。