Kumonohate

銀蝶渡り鳥のKumonohateのレビュー・感想・評価

銀蝶渡り鳥(1972年製作の映画)
3.9
梶芽衣子が怒る、憂いの顔をする、笑う、はしゃぐ、無く、唇を噛みしめる。梶芽衣子が、囚人服を着る、ドレスを身に纏う、ミニスカを穿く、和装になる。梶芽衣子が、仁義を切る、ビリヤードで勝負する、ドスを振り回す。色んな表情姿態がてんこ盛り、梶芽衣子を心ゆくまで堪能できる幸福作品。

てんこ盛りにした結果、いろいろとほころびも。

冒頭、ムショで「おひけえなすって」と仁義を切るが、後に語られる服役の理由は、不良(ヒッピーっぽい感じ)時代に復讐のためヤクザを刺殺したこと。で、出所後は銀座でホステスとして働くが、ラストシーンではドスを振り回しての大立ち回り(これが何ともカッコいい)。いったいこの人は、もとはヒッピー的不良だったのに、いつの間にヤクザ修行をしたのだろう?

また、自分がヤクザを殺したことで、残されたヤクザの妻子が困苦にあえいでいる。しかも、その未亡人は、夫の仇であるはずの自分のために、減刑の嘆願書まで出してくれる。そんな母子に対して、すまない申し訳ないと後悔し侘びる梶芽衣子。なのに、ラストシーンではばっさばっさとヤクザを斬り殺す。後悔していたのを思い出すことも無く。それまでの積み重ねなど完全無視のストーリー展開。


でも気にしない。

ありとあらゆる梶芽衣子を見せようと思ったら、乱暴な展開もやむを得ない。ヤクザな梶芽衣子も見たいし、ハスラー梶芽衣子も見たいし、ヒッピーもドレッシーも見たいのだ。
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