まりぃくりすてぃ

暗黒街の弾痕のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

暗黒街の弾痕(1937年製作の映画)
4.8
フリッツ・ラングが傑作ばかり創るから、ヴェーラ値上げへの怒りが吹っ飛んじゃったじゃん(怒)!

プロ中のプロな演出ふんだん。クスッとするところも特に前半いっぱい用意されてます。サツがリンゴかじるとこ。「またな」に「やだよ」。キスに夢中で「出所しないのか?」。“犯罪雑誌”なんてのがあったなんて、ポカーン&ケラッ。(雑誌名「ファイティング・クライム」だとさ。)
ショウウインドウの楽器類を映してから銃を映したの、凶々(まがまが)しいね。車のガラスの隙間ごしに銀行強盗犯のピンポイントすぎる目だけがギラついてたり、ピアノ部屋でヒロインが愕然と立ち上がって鍵盤バンと鳴るところなんかも細やか。新聞見出しの三パターン、特に賢い!

主演男女のバランスもナイス。────エディ役のヘンリー・フォンダは、(言動によってイケ値が上下するもののヤッパリ)終始一貫カッコいい。対するヒロイン・ジョーちゃんのシルヴィア・シドニーは、丸っこい顔に離れ目で、見慣れてくればドンドンドンドン愛おしくなってくる不思議顔面。後半もう観客全員で彼女を守ってあげたくなっちゃったね。
早いうちに(カエル場面で)私は結末が読めた気もしたが、それでかえって後半泣きっぱなし。
でも、そう単純な物語じゃぁなかった! 「劇的な、まさに劇的な」写実劇の急展開が、せつなさのスクリュードライバー。終盤のきわめておいしいところで(『M』の紫煙モクモクモクモクに続く)霧攻撃が絶大効果上げてるッ。そこでの牧師の役回りも上々だが、ヒロイン愛で動くコワモテのスティーブ(バートン・マクレーン)がその後にイイ味出しまくり。


でも、、、
やな点
❶死刑囚となって病棟・拳銃……のところが都合よすぎる流れ
❷最ラストが結局どうなったのか、よくわからなかった!!!!!!