kyoko

東への道のkyokoのレビュー・感想・評価

東への道(1920年製作の映画)
3.8
田舎の純朴娘が都会の悪い男に偽の婚姻で貞操を奪われたあげく妊娠し捨てられるという、おのれワシのリリアンギッシュになにしてくれとんねん!な作品。

当然のごとくこの時代のシングルマザーに対する世間の風当たりは厳しい。子どもは父親がいないために洗礼を受けることができない。病気の子どもが天国にいけるようにと、自己流で洗礼の儀式をする場面が涙を誘う。
そして女性にだけ求められる強い貞操観念。
彼女の苦しみはすべてキリスト教の教えに根付いたものであり、神の存在を否定したくなるほどの不運の連続だけど、救うのもまた神であると、最後はしっかりと神様全肯定(そりゃそうだ)。

出だしから登場人物多め、150分という長尺は、ついうとうとしてしまった間に「これ誰?」な登場人物がいたりして油断できなかったけど、悪い男はとことんいやらしく、イケメンヒーローはとことんさわやかに、脇役たちは濃い目キャラでドラマを盛り上げる(噂好きマーサを20年ストーカーしてるセスは、これからも彼女を追い続けるのかしら……)。
欠損してたり静止画のみ(!)な場面も多くて、ラストまでこのフィルムが完走できるのかヒヤヒヤした。
見どころ(ツッコミどころ?)はやはりラストの大氷原シーン。
アクロバティックにもほどがある、もはや忍法。
kyoko

kyoko