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砲艦サンパブロのSIのレビュー・感想・評価

砲艦サンパブロ(1966年製作の映画)
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2021.8.23
自宅TVにて鑑賞

1920年代の上海。中国人の住みつくボロ砲艦に転属となったエンジン一筋の米国機関兵は、アメリカ人宣教師の美女、心優しき同僚、部下の健気な中国青年、知的な中国人娼婦らと心を通わせ、偏見なく次第に心を開いていく。しかし南京事件が勃発することで、友が次々と死んでいき、時には自ら殺さなければいけなくもなり、名誉欲に駆られた将校によって、宣教師の彼女を守るために自らも戦闘中に死んでしまう。

ロバートワイズ監督。スティーブマックイーン。巨編反戦映画。
1926年の上海。街並みを映したカットが非常に豪華。人。人。人。
調べたところ香港・台湾にセットを立てて撮影しているようだが、作り込みの美しさに一気に惹きこまれた。金がかかっている。

ホンは、正直3時間は長い。ラストもバッドエンドで、やりきれない。
主人公が心を許した人が次々に死んでいく悲劇。同僚の彼女の中国娼婦がオークションにかけられたり、子供同然に接していた中国青年が暴徒に囲まれ吊るされ、むきだしになった胸を何度も何度もナイフで切られたり、その青年を主人公が撃ち殺してあげたり…。鬱展開が多い。
時代背景をきちんと描いておりらしさは十分あるのだが、観ていて辛すぎる。
反戦映画としては見事、という事だと思う。

ヒロイン役はキャンディス・バーゲン。くしゃっとした笑顔が可愛すぎた。
サイモン・オークランドは、酒場での中国青年との拳闘時の悪役っぷりが良い。ビールを盛大に口から吹き景品の娼婦をみて腰を振り巨体を揺らす。最高の芝居。忘れられない。
その娼婦役の女優が、のちに「エマニエル夫人」を書くことになるというのは面白い。

「シャンハイ」「ラスト、コーション」。
華洋雑居に文化が混ざり、時代の中心にあった当時の上海は、濃厚な悲恋ドラマにぴったりの舞台だと改めて感じる。

切なすぎるも、心に残る作品でした。
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