Tig

アメリカン・ヒストリーXのTigのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

学校の授業で習った浅薄な差別についての講釈より、余程差別について考えさせる契機を与えてくれた作品。デレクがネオナチに傾倒していく過程、そして気づきを得て自身の考えを改めるまで、またアメリカ全体に蔓延る差別の闇の深さが目を背けたくなるような場面は多々あるものの丁寧に描かかれています。ネオナチは勿論支持できません。しかし主人公デレクのように子供の頃から無意識に差別を当然のように志向する家庭環境におかれ、また父親が有色人種に殺された場合。ネオナチのような極右の世界に染まっていく事は起こり得る事だと思いました。勿論、通常の思考があれば理性的な対応を…という事になる訳ですが、若さや生まれ育った環境、やり場の無い怒りや喪失感。そういった全ての要因が彼を人種差別主義にいざなったのだという事が画面を通じてヒシヒシと伝わってきます。序盤は観ながらにして後退りしたくなるような恐ろしいネオナチの姿のデレクが描かれます。

重い話ですが中盤以降の刑務所でのシークエンスが見所。同胞の白人に裏切られたデレクは強いショックを受け、今まで自分が信望していた価値観が揺らぎ始めます。そんな中、彼を助けたのは黒人だったという。最初は頑ななデレクですが次第に心を通わせあっていく描写はこの殺伐とした作品の中で一番心温まるシーンでもありました。
黒人の罪状と刑期を聞いて愕然とするデレク。ここで差別がアメリカ社会全体に蔓延る問題だという事が提示されます。

出所をして改心したデレクですが、その後に起こる一連の連鎖がアメリカ社会の問題点と人種差別が生む悲劇を殊更に強調しています。

ラストはやりきれないっす…