ShiroKyogoku

アメリカン・ヒストリーXのShiroKyogokuのレビュー・感想・評価

アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)
4.6
20年近く前に、ネオナチを題材にした考えさせられる作品だったなぁ〜なんて観た覚えがあって、この歳になって、ふと再視聴してみたら、更に色々と考えさせらる作品だった。

公開当時より、いや、それより過去より今日まで、問題であり続けている人種差別。
近年、欧州での避難民問題や、一部のテロリストの行為に起因する宗教的差別など、更に根深い事態となってしまっている世界の中で、どのように社会的共生をしていけばよいのか?
信教、思想の自由は認められた人権であるはずなのに、それがぶつかり相反した場合には、どのように折り合いをつけてゆくべきなのか?
また、別の視点では、父が話していた中で、大学入試の例を挙げ、差別が逆差別を生んでしまっている事実を深刻な課題として提唱している事から、平等とは何か?という問題も突きつけている。

互いの違いを認め合う事、それが共生への第一歩ではないだろうか?その為には、自分とは真っ向から対立する考え方を拒絶、否定せず深く学ばなくてはいけない。

そして、この作品で挙げられている差別問題は、決して対岸の火事だと思ってはいけない事だろう。
つい先日も大学入試で性差別が問題となったばかりだ。また、2016年の相模原の施設での事件も、その背景にある犯行の思想は、差別要素を孕んでいる。少し見渡すだけでも様々な形で私たちの身近な場でも今現在起きている問題だ。

外国人労働者の受け入れ政策が進められている昨今、これまでにない多様な価値観を持った人々との繋がりを持つ日本社会の中で、私たちはどのようにその社会構造を受け入れ、共に認め合いながら、互いによりよくあることのできる世界をつくっていけるかを考えなくてはならない。
…まだまだ色々あったけど、そんなことを深く考えさせられる、とても質の高い作品だった。
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