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アメリカン・ヒストリーXのデイのレビュー・感想・評価

アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)
3.9
十数年ぶりに観ましたが、やはり衝撃を受けました。
骨組みだけボンヤリと覚えていたけれど、壁も屋根も飛んでしまっていたような私の記憶…。

過去は白黒、現在はカラーと分かりやすい作り。

4人兄弟の長男であるデレク(エドワードノートン)が白人至上主義思想(KKK)に傾倒してゆき、高校生の弟のダニー(エドワードファーロング)が兄の思想を引き継いでゆく。

そのデレクの思想は母親や妹への暴力と繋がり、家族の崩壊をも導いてゆく。

彼らは、黒人だけでは無く、全ての"白人以外の人種"…
ブラック、ブラウン、イエロー…そしてユダヤ人…をも差別(憎しみ)があって
(描かれて居なかったけれど、LGBTQの人たちに対してはどうだったのでしょうね…?)

アジア人経営で、メキシコ人女性の従業員がいるスーパーマーケットを襲うシーン等々
日本人の私から見てムナクソなシーンもありました。

アメリカの"肌の色"での人種差別。
その差別意識やデリケートさは日本人の私にとって、容易には想像し難いものがあって…というか想像出来ません!

何故、デレクがそんな思想になってしまったのか?
は、消防士の父親が黒人に殺されてしまったことが"発端"だったけれど、かつての父親が、黒人差別主義だったこと…が窺える。

高校生だったデレクが尊敬していたのは"黒人"であるスウィーニー先生だったから。

車を破壊しに来た黒人二人を殺した(※注ここのシーンが残虐です!)デレクが3年の刑期を終え(っつうか何故3年なんだ?)出て来た時には"白人至上主義"の思想をキッパリと捨てていた。

刑務所で、一体何が?

同じ洗濯作業に付いた黒人のラモントへ芽生えた友情のようなもの。
彼はテレビを盗んだだけで刑期6年。
え??え??
警官の足の上にテレビ落としちゃって、怪我させちゃったから…らしい。
(これも人種差別によるものよねーぇ…。)

そして、同じ仲間だと思っていたムショ仲間の白人たちの裏切り…からのリンチ(カマ掘られる)。
ここら辺は何だか学校での"イジメグループ"みたいな事も感じさせられたなー。

仲間だと思っていたけれど、その仲間が敵になること…。

そして、デレクが黒人の囚人たちから攻撃を受け無いようにラモントが守っていたこと。

何よりも
ムショの中でスウィーニー先生がデレクに掛けた言葉が心に響きます。
「怒りは君を幸せにしたのか?」

ぎゅうぎゅうに固結びしてほどけない紐のようになっていたデレクの"その思想"を変えるにはエピソードとしては物足りない部分もありましたが、
それでもデレクは、ムショから出たら真っ当な人間として生きよう!と誓っていたのです。

が…が…

簡単に"退会した"から、もう俺には"関係無い"とは言え無い状況に…。
もう、自業自得でしか無いのですが…。

そして、なんとも悲しいラスト。
これからデレクはどうやって生きてゆくのでしょうかね?
また、元に戻るのかな?
それとも、自分を責めて、真っ当に生きてゆくのかな…。

そこは観る者に委ねる系映画ですね…。

セックスシーンやエグいバイオレンスシーンもあるけれど
若い人にも観てもらいたい映画ですね…。

とにかく、エドワードノートンの演技力が凄いんですよ!!
肉体改造も含め。
高校生から演じていて、そこから白人至上主義者グループのカリスマ性あるリーダーから、立ち直ってゆく様子。
本当にエドワードノートンは演技力が凄いなー。と唸る一作です。


Wiki情報だったりしますが、ノートン自身が映画の編集を手掛けたりしているのですね…。
本当はカットしなければならないシーンもたくさんあったのでしょうね…。
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