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アメリカン・ヒストリーXのKのレビュー・感想・評価

アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)
3.9
いわゆる名画を見てみる/見直してみる活動第8弾は点数の付けがたいこちらの映画。

ネオナチに傾倒する若者を描く本作は、トランプ就任以降堂々と人種差別を公言する白人至上主義者たちが跋扈している今、見る価値のある作品でした。

アメリカ社会が抱える多くの問題を、白人の被害者意識、権利意識を公然と刺激することで不満の根源を移民に向けるトランプのやり方、それに扇動されて加熱する白人至上主義者たち。

「怒りは君を幸せにしたか?」

”対象”に憎しみや怒りをぶちまけたところで、何も解決することはない。むしろ、憎しみや怒りを加速させるだけ。

潜在的差別意識はそもそも、幼い頃からの洗脳によって頭の中に植えつけられ、引き金が引かれると爆発してしまう。でも当人たちも、その憎しみや怒りがどこから来たのか、自分の考えなのかもわからないのではないかと思う。

それは自分の考えか、自分の言葉か。

人種の垣根を超えて実際に交流した体験があれば、肌の色や宗教が違っても、人間は人間だと気付けるのに、その機会も与えられないのはとても不幸なことで、この映画はアメリカ社会の不幸な子供達を描いてもいる気がしました。でも、彼らもまた被害者なのだと思います。
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