安堵霊タラコフスキー

東京戦争戦後秘話 映画で遺書を残して死んだ男の物語の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

4.2
昔はほとんど好きな映画が無かった大島渚、この作品も例に漏れず昔嫌いだったのだけど、最近ようやく楽しみ方がわかってきた気がする

というのもこの作品等60年代の大島渚の映画には役者の演技があまりに酷くて見るに耐えないと思ってしまい、今見ても言い回しが単調で下手という印象は拭えないのだけど、逆に近頃はその台詞の下手な感じが独特の雰囲気を醸し出しているように思え、一周回ってそれが面白いと感じられる

しかもそれでいて映像は女の裸体に映写されたフィルムが映る場面等情緒溢れて見事なシーンばかりで、この映像的秀逸さと演技の拙さが絶妙なコントラストを齎しているのもまた面白い

副題にもなっている映画を遺書にする男ってのも共感が抱けて良いし、超現実的な展開も好みだったし、学生運動とかどうでもいいという気分に反し全体的に面白味の感じられる映画だったのだけど、今なら他の大島渚作品も同様に好意的に見れそうな気がするし、netflixで鑑賞できる分だけでも試しに見直す必要がありそうだ