大島渚の60年代学生の風、ロストフィルム
2012年7月30日 16時12分レビュー
1970年脚本原正孝、佐々木守。音楽武満徹。美術戸田重昌。監督大島渚。
渚との出会いは、「メリークリスマス」から。
タケチャン見たさに見たら強い異国ファンダメンタルな傷を負わされた「戦場のメリークリスマス」だった。
勿論「愛のコリーダ」と「愛の亡霊」でよっぱら衝撃で殴られたのは言うまでもない。
創造社時代の大島渚を「やっとわかりかけてきたから」見てみようシリーズ
1960年代「松竹ヌーヴェルヴァーグ」と名づけられた大島松竹時代
松竹を離れ、自社「創造社」を構え、作りたい作品を作っていた大島渚
今まで
学生運動の象徴絵画を作品連発していた画家・横尾忠則が
ヌーヴェルヴァーグゴダール風な大島カッツにまみれ新宿学生風俗を闊歩する
素晴らしき新宿の風「新宿泥棒日記」
それはコントか?哲学か?
いやはや朝鮮!戦争!生か死刑か?
絞首刑から思索談義「絞私刑」
を鑑賞してきました。
こちらも一回挫折済み。東宝ビデオの赤と緑のなんともオドロしいビデオジャケット、素人っぽい作品?成人指定?「むむむ!」と思いながら鑑賞となりました。
いやーまず、音楽の武満徹のなんともソフトボッサァのような涼しい音楽が素晴らしいのなんの。
本作物語とまあそぐわないこの涼しさが逆に凄い!
そして タイトルとまあ内容がまた相まってないこのコジンマリした学生映画風なお話でした。
まさしく「戦後秘話」なんて言うよりも
大島渚のロストフィルム、あのフィルムはいずこ?
あの学生の
あいつの
撮った映画は
何を映し
何を訴えたかったの?
映画は娯楽か?
闘争か?
表現手段か?
ポエムか?
詩か?
死か?
若きカップル追い求めるストーリーてな感じ。
本当に小品な学生映画のようで思索試作した映画でした!
大島渚監督の映画ってやっぱり若者の映画
青春映画ばかり作っているんですよね、結構意外です。
本作もタイトルからは何か「戦争」の後日談的なノンフィクション映画に見えそうですが、
蓋を開けると
いつもの大島アプローチの試作的映画であり、青春映画でありました。
ある意味60年代の学生の雰囲気や対峙していた問題、会話がリアルに収録されていると思います。価値ありです。
実名を挙げて映画、映画人を考え、こねくり回しぶつかっている若者の気風が映っていた気がします。
それは今の「金と物と携帯電話がある」学生とはやっぱり違いますよね。立派な青春映画として残っていると思います。
物語は自殺したとある学生、彼らグループのとあるカップル。
その失われたフィルムを巡り、
恋に
謎に
路に
言葉に
フィルムをかざし、
風景に身を投じていきます。
とってもサッパリした学生映画であり、それは武満さんの素晴らしい音楽があったからだと思います。
うしなわれたあいつの秘話とは?
それは彼らに何を魅せるのか?
小品ながらも意欲的でとっても良かったです。
さて
大島渚が魅せる
1960年代のフィルムの風
東京学生のロストフィルム
学生の声と対決と学生運動のあれやこれや
あの映っているものはなんのか?
ぜひご覧ください!