回想シーンでご飯3杯いける

十五才 学校IVの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

十五才 学校IV(2000年製作の映画)
3.9
山田洋次監督「学校」シリーズの最終作。「夜間中学」「養護学校」「職業訓練校」と来て、今回はようやく普通中学の生徒が主人公になったが、不登校という設定で、やはり普通の学園ドラマにはなっていない。

今回は不登校の中学生が家出して鹿児島屋久島の縄文杉を目指すというロードムービーで、ヒッチハイクで様々な大人や、年上の仲間と出会いながら、人間としての成長していく姿を描いている。特にヒッチハイクするトラックの運転手として登場する麻美れいの存在感がすばらしい。宝塚歌劇団出身の舞台女優で、映画出演はなんとこの「十五歳」だけ。そこでいきなり日本アカデミー賞優秀助演女優賞を獲得したというのだから凄い。

これまでの3作品に比べるとヒリヒリするような描写が少なく、やや緩過ぎる感じがしなくもないが、それはあくまで大人目線での感想なのだろう。十五歳が体験する旅として、これほどドラマティックで偉大な旅はない。岐路と帰宅後の描写も良い。