Habby中野

嵐を呼ぶ十八人のHabby中野のレビュー・感想・評価

嵐を呼ぶ十八人(1963年製作の映画)
4.0
三人?七人?十人?いやいや。
人間若者十八人、だれが主役でもなく全員が主役でもない。その視点、驚異的な映画。
「おまえら人間やない、虫けらや!」
「……わいらよう知ってる 誰もわいらを人間扱いしてくれへんわ!」
そう、十八人は大小あれどどこまで行っても「十八人」。それはいつも他人から見た誰かのことである。島崎という人間越しに見える彼らだが、島崎にさえ執着しないカメラはもはやお互いを他人に見る。オブザーバー/オブザーブドの関係は、そう観客にこそ向けられる。他人の物語はどこかで途切れ、それは観る者の中で自由に結合、完結する。ほれ見い、喜重お得意、教会の結婚式の外の明るさ、中の暗さよ。青春物語風で良い感じのラスト、かと思えばその見送る目線は冒頭と同じ冷たい鉄骨に重なる。映画を観ることと他人を観ることが繋がっていく。
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